出版社内容情報
〈生の現象学〉の立場からカンディンスキーの絵画作品とその抽象絵画論を入念に考察し,人間の形而上学的認識能力に絵画の本質を探りつつ,芸術創造の秘密に迫る。
内容説明
「生の現象学」の立場からカンディンスキーの絵画作品とその抽象絵画論を入念に考察し、見えないものを見る人間の形而上学的認識能力に絵画の本質を探るとともに、生=情念の湧出がはるか宇宙的規模にまでいたる芸術創造の秘密に迫る。
目次
内部/外部―見えないものと見えるもの
「抽象絵画」という表現において「抽象」の意味するもの
フォルム
純粋な絵画的フォルム
抽象的なフォルム―要素の理論
絵画性の解明
点
線
基礎平面
要素の統一性〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
保山ひャン
4
カンディンスキーの『点・線・面』『芸術における精神的なもの』を中心に、「抽象絵画があらゆる絵画の本質を規定している」との主張から、後半クライマックスの展開で、ショーペンハウアーの芸術論も借りて、ラストの1行「芸術とは尽きることのない生の復活なのだ」になだれこむミシェル・アンリの生の思想。「芸術は何ものも表現しない」「生はその固有の本質にしたがって芸術の中に存在しているのである」(生の中に芸術があるんじゃないよ!)「芸術とは生の移り変わりであり、その移り変わりが生ずる際の形態である」の主張は刺激的。2016/06/07