出版社内容情報
〈物語/歴史〉から逃れるために怪奇と幻想にみちた作品を書きつづけ政治的圧力にも断固抗したこの奇才の波乱にとんだ生涯を,独自の視点から活写した本格的評伝。
内容説明
〈物語/歴史〉から逃れるために怪奇と幻想に満ちた作品を書きつづけ、音楽家・画家・法律家としても多彩に活動したホフマンの波乱の生涯。激動と興奮の時代背景の中にその全体像を活写。
目次
第1部 家風の重圧をうけて 1776‐1808
第2部 自由のつらさ―楽士長時代 1808‐1814
第3部 型破りの大審院判事 1814‐1822
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さえきかずひこ
6
19世紀ドイツで活躍した小説家であり、音楽家であり、法律家であった異能の人、ホフマンの評伝(彼はイラストも上手い!)。本作を通して、初期のロマン主義の雰囲気が漂っており、ザフランスキーの処女作らしさを強く感じとれた。「地面に根がはえたように縛りつけられて、こちらに送りよこされる視線や呼びかけの言葉にいちいち受け答えしなくてはならないくらい退屈なことってないわ」(『ブランビラ王女』より)。まったくその通りであり、そんな信条を抱いて死の間際までリウマチに抗いながら果敢に創作に挑むホフマンの異様さに心打たれた。2018/03/03
小瑠璃
3
卒論のために。軽く目を通すだけのつもりが、すっかりホフマンという人物の虜にされてしまいました。ヒッペルとの友情エピソードは必読だと思います。2009/11/10
iwri
1
後期ロマン派の代表的作家ホフマンの伝記。ザフランスキーは、当時の文化的・政治的な社会状況と重ねあわせながら、決して叙情的とは言えない語りをしているにもかかわらず、ホフマンの人生自体がロマン的な印象を受ける。ホフマン自身のフモール・イロニー・ファンタジーが、まさにロマン的なものを体現しているのだと感じた。2011/08/03