出版社内容情報
文献学的読解を通じてハイデガーのニーチェ解釈を踏み越え,ドイツ観念論との連続性を究明しつつ,ニーチェ哲学を超越論的な歴史的実践の哲学として再評価する。
内容説明
文献学的読解を通じてハイデガーのニーチェ解釈を踏み越え、ドイツ観念論との連続性を究明しつつ、ニーチェ哲学を超越論的な歴史的実践の哲学として読み直し、〈大いなる政治〉として開かれた哲学への再評価をめざす。
目次
第1部 誘惑者としての哲学者―実験哲学の概念
第2部 芸術家としての哲学者―哲学者ディオニュソス
哲学者の神(1966年)
ニーチェにおける〈道徳系譜学〉の問題(1968年)
附論(ニーチェの形而上学批判とキリスト教批判;応答)
感想・レビュー
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呼戯人
15
ニーチェの哲学が歴史を唯一の内容とする歴史の超越論的哲学であるということを論証した独創的な哲学書。私たちが永遠に変わらない普遍的な絶対的真理を持たなくなった世界のニヒリズムを生き、それがヨーロッパの歴史の必然的な流れであったということをアフォリズム形式で語ったニーチェの哲学を精緻に読み解く技はスリリングである。ヨーロッパの運命は、世界の運命である。私たちはヨーロッパなしでは生きられない。しかし、ヨーロッパのニヒリズムは世界の精神の骨の髄にまで食い込んでいる。その処方箋は一体何なのだろうか。2017/04/03