内容説明
「夢のさなか」、「目覚め」、その「解釈」という三局面から、夢の理論を、従来の一面的見方を措いて体系的かつ連続的に捉え直し、豊富な夢の事例と夢の歴史の解釈を通して人間存在の秘密を具体的に開示した哲学的夢学。
目次
第1部 夢の存在についての問い(夢見られた事象の〈現実である〉という存在;夢見られた事象の〈夢見られることによってある〉という存在―夢世界の超越論的理念性;夢見られた事象の〈意味するものとしてある〉という存在)
第2部 夢の現象学(構想;具体的な夢の事例を手がかりにした夢の現象学の呈示)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
14
夢と覚醒状態を区別する標識はなく、目覚めてはじめて今までのことが夢だったと分かる。とするならば、この目覚めも目覚めたという夢を見ているのかもしれない。この懐疑を突き詰めてゆくと、少なくともそう懐疑している自分の存在は確認できる。これが、デカルトの「我思う、ゆえに我あり」という言葉となる。この夢の在り方は、絶対視された世界に埋没しない超越論的観念論や、主客の根源的同一性、人間の存在は必然ではなく可能性(不可能性)に侵食された無根拠な存在であること、因果関係でない生成運動による歴史、等に気づかせてくれる。2016/04/09
さ◯てんだぁ ver.NEET
0
前半部はとても興味深く読めましたが、後半は退屈でした・・・。夢に独自の世界性と固有性、自体性を認める「世界としての夢」、転回(目覚め)、目覚めによって夢に付帯される解釈の三つの側面から夢を考察して行く著作です。夢の解釈は目覚めた側からの視点であるという指摘にはハッとさせられました。読む際にシェリング、スピノザ、カントの判断力批判に関して初歩的な知識があると良いです2013/04/03