出版社内容情報
12世紀フランスの宮廷付司祭による中世の恋のハウツー。ダンテからロレンスまで,西欧文学の主題をなしてきた〈恋愛=姦通〉の認識と情熱の理解に必須の原資料。
内容説明
12世紀フランスの宮廷付礼拝堂司祭による中世の恋のハウツー。西欧文学における恋愛=姦通の認識と情熱の理解に必須の原資料。
目次
第1之書 恋愛論の序(恋とは何か;如何なる人の間に恋は存在するか;恋の名の由来;恋の功徳;如何なる人物が適しているか;恋は如何ようにして獲得されるか、またその方法は幾通りあるか;聖職者の恋;尼僧の恋;金銭によって得られる恋;目的に容易なる達成;農民の恋;娼婦の恋)
第2之書 如何にして恋は保持されるか(獲得された恋は、如何にして保たれるか;一度完成した如何にして弥増すか;恋は如何にして衰えるか;恋は如何にして終るか;恋が叶えられた徴候の色々;恋人の一方が不実であるなら;種々な恋の事例にまつわる様々な裁定;恋の戒律)
第3之書 恋の拒否
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさこふん
1
身分に応じた男女の組み合わせ8パターンの、口説きの会話(全部男がフラれているのでこの会話例に意味があるのか)を中心に、アンドレアヌスの恋愛論が展開していく。 最後、恋の拒否において、女性を全否定し恋をするべきではないという結論になっていて吃驚したが、中性の書物においては大どんでん返しは珍しいことでは無いらしい。2020/06/29
j1296118
0
十二世紀の宮廷で大幅にアップデートされた『恋愛』、その戒律の提示や状況別例示で説明する多少遠回しなルールブック。もしくは宮廷風恋愛ものに分類される多くの物語を読む際の参考書。 第一之書第六章、男女の身分を様々に変え「~の場合はこんな風な手順で始めるがよい」と繰り返される、ああ言えばこう言う長くしつこい口説き応答長口上が段々楽しくなって来る。 編者曰く「友人クレティアンと異なり姦通愛賛美に躊躇が無い」所が押し出される「高位貴族の男と低位貴族の女」、〆のGM裁定といい徹底してるなあ。2015/08/07
esehara shigeo
0
いわゆる十二世紀に流行った「宮廷風恋愛=ロマンス」について語った本であり、ロマンス小説しか読まない、教会に説教を聞きにいかない人達向けの本なのか、例えば恋愛について語ったりするなどの趣向が凝らされているので、読んでいて飽きない。読んでみると「あれ、恋愛の神なんて言い方してキリスト教的に大丈夫?」と思うんだが、案の定、第三部で徹底的に非難するという形になっていて、解説によれば、当時の文学の手法だったらしいとのこと。とはいえ、どうなんだろ。本人的には割とノリノリで書いたんじゃないかな、じゃないと書けないよ。2019/06/11