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叢書・ウニベルシタス
小説の精神

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  • サイズ B6判/ページ数 202p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784588002946
  • NDC分類 901.3
  • Cコード C1390

出版社内容情報

現代文学の最前線に立つチェコ亡命作家が,セルバンテス以来のヨーロッパの小説の伝統を探りつつ自らの創作の源泉を語り,実存の探究としての小説の可能性を問う。

内容説明

20世紀文学の最前線に立つチェコ亡命作家が、セルバンテス以来のヨーロッパの小説の伝統を探りつつみずからの創作の源泉を語り、実存の発見・探究としての小説の可能性を問う。

目次

第1部 セルバンテスの不評を買った遺産
第2部 小説技法についての対談
第3部 『夢遊病者たち』に触発された覚えがき
第4部 創作技法についての対談
第5部 そのうしろのどこかに
第6部 713語
第7部 エルサレム講演―小説とヨーロッパ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

zirou1984

44
クンデラの小説の魅力の一つは時に作者が顔を出し、主題となる観念について皮肉に雄弁に語られるその知性的な面にある訳で、当然このクンデラ自選の評論/対談集が面白くないわけがない。本書でクンデラはカフカやムージル、ハシェクといった中欧文学の先人たちの偉大さを紐解きながら、自らの小説が交響曲の様に体系化され、主題が無数の対位法となって響き合うその作風について補助線を加えてくれる。「私たちはある理由のためにこそ愛を失うことを甘受するのであり、何の理由もなしに愛を失ったら決して自分を許すことはないからです」2014/03/29

パオー

11
クンデラの評論は本当に面白い。クンデラのように、自分が生まれ育った文化圏の偉大な(しかしマイナーな)先人たちのよき理解者が、次の世代の読者にその遺産を伝えていくことはとても大切なことだと思いました。カフカやムージルは大丈夫だと思いますが、ブロッホやゴンブローヴィッチやハシェクなんかは、クンデラによる深く明快で面白い解説なしには、どのへんが偉大なのか分かりにくい所がある気がします。川端康成には三島由紀夫という最良の読者がいましたし、保坂和志の努力なしには、小島信夫の読者は今よりもさらに少なかったはずです。2012/06/26

柳瀬敬二

10
クンデラにとって小説とは、物語を描くためのものではなく、いくつかの語彙を軸にした主題を展開するため、人間の実存を探るための実験場である。 紙幅の多くは、カフカやブロッホ、そして自身の小説の考察に割かれている。カフカが暴きだした官僚的世界は、現実の全体主義社会とも異なった特有の世界であり、公と私、社会と家族の両方に内在する他の学問では説明のできない世界である。ちなみに、この本もクンデラの著作同様七部構成だが、クンデラにとって七という数字は意図的なものではなく、自然に生まれたものだったらしい。2015/08/01

ぞしま

9
クンデラの「小説の技法に関する考察の総括」、としてのエセー集。自身の作品に対する言説も、クンデラにかかると見事に客体化/テクスト化されている。著書の一部しか読んでいないこと、そして何よりクンデラがインテリ過ぎて、よくわからないところも正直あったが、示唆に満ちた箇所も沢山。特に印象に残ったのは、叙情的と叙事詩的の比較。「小説=反叙情的な詩」と語るクンデラの言説はとても強固なのだが、ほんとにそうか?と思わないでもない。寝る前などにちょこちょこ読んでいたが、岩波で改訳されたのが出たので次はそれを読みたい。2016/07/30

ponkts

2
対談の部だけ読んだ。小説を音楽になぞらえて各章のはたらきや全体構造の説明をしているんだけど、俺は音楽的な教養に乏しいのでよくわからなかった。ただ、若い頃のクンデラの音楽に対する姿勢が彼の小説をかたちづくっているということは伝わってきた。面白かったのは、日常生活( = 小説の外)では私たちの思考が確信の領域にある、つまりだれもが自分の言葉に自信をもっているのが、小説内ではそういった思考はすべて遊びまたは仮説的なものにならざるをえないらしい。その点でカフカとかブロッホをえらい評価している。勇気が出る本。2013/03/09

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