叢書・ウニベルシタス
第三帝国の言語「LTI」―ある言語学者のノート

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  • サイズ B6判/ページ数 431p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784588000553
  • NDC分類 840.4
  • Cコード C1384

出版社内容情報

人々を無意識のうちに人種差別と戦争へ駆り立てた、ヒトラー体制下の恐るべき大衆操作の言語=LTI。一ユダヤ人言語学者が受難の中で綴った言語観察の記録。(初版:1974年)
【序文から】
「第二次世界大戦中にわれわれは,もはや根絶されることはありえないと思われるほど根強く生き残っていた表現が、突然消滅する現象にしばしば気づいた。・・現代の過渡期のもっとも重みを持つスローガンもまた同じ運命をたどることになるだろう。・・しかしそのときまでには、なお長い時間が必要であろう。なぜならば、消滅すべきものはただナチの行為ばかりではなく、ナチの志向であり,ナチの思考習慣であり、その基盤をなすナチズムの言語なのであるから。」
「ナチズムの言語は、いかに多くの観念や意識を傷つけ、毒したことだろう。・・彼らはまったくそのことに気づかないのである。終わりを告げた時代の、今もなお残っている言語習慣が、かれらを混乱させ、誤らせるのである。」

内容説明

ヒトラー

目次

LTI
序曲
基本的性質―貧困
パルテナウ
第1年目の日記から
最初に出会ったナチの3つの言葉
Aufziehen(育成する)
ファシズムの10年
熱狂的
土着文学〔ほか〕

著者等紹介

クレムペラー,ヴィクトール[Klemperer,Victor]
フランス語・フランス文学専攻のドイツ系ユダヤ人学者。1881年10月、北東ドイツのランズベルク(現在ポーランド領ビェルコボルスキー)で生れる。1919年ミュンヘン大学教授、20年以降はドレスデン工科大学でフランス文学の教授を務めたが、33年ナチスの政権獲得により解任される。ドレスデン爆撃後、混乱に紛れてバイエルン地方に逃れ、終戦を迎える。戦後は、47年にグライフスヴァルト大学、48年ハレ大学、そして51年にはベルリンのフンボルト大学で、フランス文学の研究と教育に力を注いだ。60年2月ドレスデンで死去。代表的著作には、『ナポレオンから現代までのフランス文学史』(1925-31年。56年に『19・20世紀フランス文学史』と改題再刊)『18世紀フランス文学史』(54-66)等があり、ほかに『モンテスキュー』(14-15)『中世フランス語入門』(21)『ピエール・コルネーユ』(33)等もある。なお、ドイツ・アメリカ・ハンガリー等で活躍した著名な音楽指揮者オットー・クレムペラーは、その従弟にあたる
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感想・レビュー

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ひろゆき

1
ユダヤ人の言語学者が体験に基づいて書いた、ナチスによる第三帝国の勃興から終末までの世間に流通した言葉についての観察記録。教養ある善良な人々が、ユダヤ人、あるいは共産主義者を、平気に集団的にリンチをかけていくまで変貌していく上での、言葉のあらわれを記録する。けっして早急な結論は出していない。親衛隊を表すSSが落雷のような角張った字体で表されたことに注意を向けるなど周辺もおさえる。けっしてナチズムと同列視は私はしないが、かつての日本の左翼学生運動などにもあったことである。危険はいつでもどこでもある。 、2016/10/15

抹茶ケーキ

1
当時のドイツに生きた文学者が、ナチスドイツで言葉はいかにして変容させられたかを記述する。理性的な言語ではなく、感情的で扇情的な言語が多用され、その言葉は知らず知らずのうちにすべての人の心理に影響を与えるさまが描かれている。過度な当てはめは禁物だと思うけれども、現代の日本にも当てはまる記述も多い。2015/10/04

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