内容説明
一九九〇年の社会主義の崩壊から一〇年、最近になって裏側の状況が、当時の極秘文書を利用した歴史書として、元館長ピオトロフスキー等により書かれるようになり、明らかにされてきている。とはいえ、文化の場の成立をめぐっての「ブラック・ボックス」は容易にその全貌が知れるわけではない。本書では、ロマノフ家歴代の皇帝およびソ連時代の歴代の館長が何を、そして、どんな意図で収集したのか、誰を相手にそれを見せようとしていたのか、世界史にも名高いその財産が、ロマノフ王朝の崩壊後、皇帝一家の惨殺とともにどうなったのか、こうしたエルミタージュ博物館の歴史をたどってみる。
目次
1 発足・ピョートル大帝からエカテリーナ二世
2 拡張・パーヴェル一世からニコライ一世
3 停滞・アレクサンドル二世からニコライ二世
4 収穫・世紀末ロシアの美術コレクション
5 革命・レーニンからスターリンの時代
6 変動・オルベリ館長の時代
7 動揺・戦後からソ連邦の崩壊まで
著者等紹介
郡司良夫[グンジヨシオ]
金沢大学附属図書館部長。専攻は図書館情報学、ロシア文化史
藤野幸雄[フジノユキオ]
愛知学院大学客員教授。専攻は出版文化史、民族問題
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