内容説明
女性の社会的な地位や存在のあり方は、どのような歴史的変容をとげてきたのか。藤原頼長『台記別記』や藤原忠実『殿暦』などの貴族の日記を素材として、古代から中世社会への変革期に、貴族社会の家が成立しはじめる時期に対応して設置された「北政所」の歴史的な意味をはじめて明らかにする。また、『日本霊異記』や『今昔物語集』に登場する庶民の姿に焦点をあわせ、家の成立と構造、そして女性の位置と役割に新たな光をあてる。従来の研究業績を豊富に紹介しつつ人物史的分析の要素も加味して、貴族と庶民にとっての家成立史のドラマを再現しようとする日本古代女性史研究の最新の成果。
目次
序章 女性の力―本著の課題
第1章 平安前期の貴族の家と女性―北政所成立の前提(古代女性史研究の現状と課題;古代における女性の公的家 ほか)
第2章 北政所の成立と家(これまでの北政所の捉え方;北政所称のはじまり ほか)
第3章 『今昔物語集』の家と女性(家へのまなざし;家の成立 ほか)
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- 和書
- 浅草キッド 新潮文庫