内容説明
中国の文学を語るにはなによりも詩を語らねばならない。中国の古代から中世へ推移していく歴史の流れのなかで、司馬相如・曹植・阮籍・陶淵明・謝霊運などの、わが国でもなじみ深い多くの作品をとりあげて、詩人たちの時間と空間意識を読みとり、人間の感性ひいては「世界」感覚を丹念に究明。中国の古代・中世人の一つの精神史を垣間みるとともに、絢爛たる唐詩の世界を斬新に展望する。
目次
1 漢代の文学における「全体の」精神
2 漢魏六朝詩の空間表現(漢賦の空間;古詩の時間と空間;運動の詩人 曹植;空間の詩人 阮籍;西晋の詩 障壁画的自然;陶淵明 空間の変化;謝霊運 清暉と余清;謝〓 凝縮した空間)
3 別れの詩の時間と空間