内容説明
二・二六事件、近衛内閣成立、盧溝橋事件、戦時動員体制構築のさなか、執筆禁止前に公刊されたマルクス主義哲学者の闘いの最後の結晶。同時期の単行本未収録論文を増補し、2分冊で。
目次
第1部 日本の社会現象(官公吏の社会的地位;日本の官僚;警察機能;膨脹する日本;日本資本の退嬰主義と進展主義 ほか)
第2部 日本の文化現象(文化の危機とは何か;神聖文化論;自然科学者と生活意識;検閲下の思想と風俗;ナチス芸術統制に寄せて ほか)
著者等紹介
林淑美[リンシュクミ]
1949年東京生れ。立教大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。専攻は日本近代文学・思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
17
2 日本の官僚:日本の資本主義は日本個有の形に於けるファッシズムをその最後の血路として考へ出さなければならぬ程に、元来無理のあつた資本主義(25頁)。官僚群が社会に於て或る一定の勢力を持ち、官吏同志のブロックが出来上つてお互ひの間にギルド的な意識が生まれ、排他的になつたり傍から特殊群と見做されたりする時、官僚といふ観念が産まれる(1935年29頁)。10 民衆論:民衆と人民では語感が異つてゐる(129頁)。2015/06/13
Ex libris 毒餃子
5
三木清や和辻を論じた章が秀逸。同時代の哲学者がいまや有名な彼らをその当時の空気で論じた文章は新鮮だった。また、現象学が戦前にかなり普及していたと思われる箇所も見受けられた。なお、ニーチェとキルケゴールが和辻経由なのは寡聞にして知らなかった。2015/07/09
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