感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
61
継母の呪いで三病を患うことになった『信徳丸』、地獄から蘇ったものの三病に苦しむ姿になっていた『小栗判官』。説教節は乞食が語る場合が多く、その乞食の中には三病を患っている者も多かったため、病が癒えて幸せをつかんだ二人は、語り手たちの憧れでもあったのだろう。小栗判官を乗せた車を押すと功徳が得られるという筋書きにも、仏教への帰依というだけでなく、語り手である自分たちへの奉仕を求める思いが込められていたのではないだろうか。他に『山椒大夫』、安倍晴明誕生譚の『信太妻』。2018/06/19
kaeremakure
3
個人的に印象に残ったのは、厨子王をかくまってないという誓文を唱えるふりをして呪詛調伏の祈祷をはじめる住職、信徳丸を呪うために真昼間から洛中洛外の寺社に合計136本も釘を打って回る継母、霊湯で復活した小栗判官を見て「あのような大剛の者に金剛杖を買わせずば、末世の衆生に買う者はあるまい」と早速熊野みやげを売りに来る権現様。巨大な鉄の檻を素手で破壊したりした後、「鬼鹿毛が武蔵相模に逃げたら人が皆食われてしまうから捕まえてくれ」と言われて「最初からそんな馬飼うなよ!」とまともなツッコミを入れる小栗判官が可笑しい。2018/06/05
のりたま
1
再読。高野山参りの紀行文に苅萱のことが出てきたので読んだ。2023/12/01
かにこっこ
1
寺山の身毒丸の原型を知りたくて手に取った。慈悲心鳥の歌詞のほとんどが説教節からだったのに驚いたし、藁人形がもとは京都中の寺社を巡って呪いをかける場面だったとは…七日が縁日なのは祇園殿(八坂神社)なんですね…/解説で言っている通り小栗判官が飛び抜けて優れたプロットを持っている。スペクタクルで面白い。「愛護若」は救いがなさすぎる…。/説教節に特徴的な残虐ともいえる悲劇性が「信太妻」にだけは無いような。源流が違うのかしら。2021/01/25