感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
39
清朝雍正帝の時代、広東省潮洲府の普寧県知事、後に隣県潮陽の知事を兼任し、そこで起きた事件、訴訟問題を記録。著者は上長とは必ずしもうまくいった訳ではないものの、犯罪者を捕らえ、公正な裁きを行う名知事として世評が高かった由。中国古今の名裁判比べの「棠陰比事」はやや観念的な印象があったのに対し、本書は当時どのような事件があったのか、捜査手法や犯人への説諭、判決を申し渡すまでの上との交渉まで知ることができる第一級の社会資料でもあり、また読み物としても楽しめました。ヒューリックの荻判事シリーズが好きな人におススメ。2020/01/18
ああああ
8
実録半七捕り物帳(あるいは鬼平犯科帳)といった感じでとても楽しめた。それにしても中国の住民として登録されている都市の人々が、いかに法の支配を受けているのかという点が面白かった。こりゃ世が乱れてそのメリットがなくなりゃすぐ流民になるわ。野盗の類ではなく、住民の台帳から抜けて中世的な荘園世界に保護してもらうという意味で。あと司法と行政の2つの権限を有してた県知事に、むち打ち40回程度の権限しかないのんにも驚き。太学生は訴追できないとか、さすが中国数千年の法治の制度だ。でもこれ雍正帝の頃の話なんだよなー。2019/10/21
エチゴヤ
3
すごい面白かったんだけど、自分で自分の業績をかっこよく書いてるんだよな~このおっちゃん・・・という一点だけがいつも気になってました(笑)。でもすごい面白かった!2016/07/02
コカブ
2
清代・雍正帝の時代にいた藍鼎元という行政官(裁判も行った)が、自分で書いた記録。広東省潮州府に属する普寧県知事を務め、隣接する潮陽県の知事代行も務めた。しかし上司と対立して免官させられるも、…当時の働きを見込んだ人に再度見出されたようだ。ともかく色々な不正事件が出てきて面白い。著者はずばずばと解決していく。赴任期間は短かったが、事件数は多い。著者は科挙に受かっていないので、翻訳者の宮崎市定さんは”科挙の制度がおかしい証拠”と言っているが、この文章は当事者が書いたので一方的に信用してもいいのかなと思う。2014/10/29
みつか
1
中国清代 雍正帝ご時世 広東省潮陽県に任命された藍鼎元自らによる遍く御白州の記録。犯罪者が結構簡単に自白してしまう所が、任侠の世界に生きる賊と違い、一地方の田舎庶民への御沙汰である事が垣間見えた。2017/06/27