内容説明
二十世紀に誕生した抽象画。カンディンスキー、モンドリアン、マレーヴィチ、戦後アメリカの画家の作品をとりあげ、●▲■が主役となった絵画がなぜ生まれたのか、こうした美術作品を生んだ二十世紀とはどんな時代だったのかを、平易な語りで考察する。
目次
1 はじめに―世界は○△□でできている
2 抽象画への出発
3 色と形で描く―カンディンスキー
4 垂直線と水平線で描く―モンドリアン
5 白と黒で描く―マレーヴィチ
6 抽象画の実験―アメリカの画家たち
7 なぜ○△□を描くのか
補章 ○△□からの出発
著者等紹介
本江邦夫[モトエクニオ]
1948年、愛媛県松山市生まれ。専攻、近・現代美術史。東京大学文学部卒業、同大学人文系大学院修士課程(西洋美術史専攻)修了。1976年より東京国立近代美術館に勤務。同館で「マチス」「メタファーとシンボル」「ゴーギャン」「ルドン」「手塚治虫」「黒田アキ」などの展覧会企画を担当。1998年より多摩美術大学教授。2001年より府中市美術館館長(兼任)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
脳疣沼
5
かなり強引に思える見解が・・・。ただ、かなり分かりやすいので素晴らしい。難解な批評とは違う。子供にも分かるように書いてあるのが素晴らしい。誤魔化してないのが高評価。2019/01/11
キニマ
3
抽象画の入門書として非常におもしろい。カンディンスキーやモンドリアン、マレーヴィチを具体的に取り上げ抽象画が存在するに至った変遷を綴っている。絵画をモノという視点から離れ、色や形にスポットを当てることで具象絵画には現れなかった奇異性。それらがコミュニティーが形成されている集団の中で受け入れられなかったのは必然で、私たちはそういう絵画をわからないと丸投げし不快感を覚えてしまっている。そもそも具象絵画とは成り立ちも受け入れられる環境も異なるのだ。ただ後半部の芸術とは何かという推察に対しては少し抵抗を覚える。2017/12/21
実穂
2
カンディンスキー、モンドリアン、マレーヴィチの絵を使って解説。「数学や英語とおなじように、美術もまた学ばなければならないのだ」という。その絵の背景がわかって楽しめる部分が少しだけ広がるかもしれない。川村記念美術館に足を運びたくなった。2010/08/03
rigmarole
1
印象度B。抽象画の成立過程や展開を分かりやすく説明しており、美術史的な知識が得られるという意味では意義のある本です。しかし、それらの知識が私の感性をを高めることには繋がらなかった。更には、読者の理解や解釈を決めつけている節が言葉の端々に感じられ、中高生にはよくても中高年の私には、いかにも上から目線の印象を与えたところが不満。補章の、芸術品とそうでない物との違いは何かという問題は、誰しもが素朴に疑問に思うことで面白い話でしたが、著者の結論は、芸術は「いかにも美しいところにある」と、煙に巻くかの如くです。2015/07/24
ぺりお@樱花妹(怪奇物好きだ)
1
最初、児童書として出版されたとは驚き。後書きにに『すぐれた児童書ほど大人が読むものですよ』の一言で再刊が決定とあるように、わかりやすくかつ濃い内容。大学の教養課程レベルとのこと。2012/10/06