内容説明
「小さんは天才である。実は彼と時を同じうして生きている我々は大変な仕合せである」そう書いた江戸っ子・漱石。その文学の国民性は庶民芸能である落語の精神に深く繋がっていた。『猫』や『坊っちゃん』の軽妙な文体はもちろん、晩年の作品になお見え隠れするユーモアや諧謔など、生涯消えることのなかった漱石と落語の関係を探る。
目次
1 作家以前の時代(幼年時代;少年時代;学生時代 ほか)
2 「吾輩は猫である」の時代(「吾輩は猫である」;落語研究会と「みづまくら」;「漾虚集」 ほか)
3 「草枕」以後の時代(「草枕」「二百十日」「野分」;「虞美人草」から「それから」まで;「門」から「私の個人主義」まで ほか)