内容説明
ヘレニズムとヘブライズムの思想伝統を一身に受け継ぐ亡命ユダヤ人の該博な知識と高邁な精神によってもたらされた奇跡―。プラトン主義的愛論の最高傑作として、イタリアのみならず全欧に声価を得た幻の古典の初邦訳がここに成った。本書に横溢する万学にわたる知の絢爛、善にして美なるものを求めてやまぬ魂の高貴は、ルネサンス精神の華と言うにふさわしい。詩作品、詳細な訳注および解説を併載する。
目次
第一の対話 愛と欲求について(愛と欲求の定義―その統合の試み;倫理的徳に関する理論―〈有用なるもの〉〈快適なるもの〉〈清廉なるもの〉;至高の愛としての聖愛;人間の幸福―思考的徳に関する理論;人間的愛と情念の世界)
第二の対話 愛の普遍性について(最初に愛の普遍性について論ずる必要性があること;地上界における愛;天上界における愛;古典的な性愛的神話の解釈;知性界における愛)
第三の対話 愛の起源について(序論―愛の生理学;知性と霊魂;愛のもたらす効能について;愛の起源;終章―どうしようもない愛の苦しみ)