出版社内容情報
母とけんかをして、画廊「風待ち」に家出をしてきた美音は、ある特殊な能力を持っていました。それは、絵の中の世界に入り込むこと。個性豊かな絵に入り込むことで母の思いに気づいていく美音。その過程で彼女の能力の秘密も明かされます。
著者等紹介
西村友里[ニシムラユリ]
京都市内の小学校に35年勤務。そのかたわら、創作活動を続ける。『たっくんのあさがお』(PHP研究所)で第25回ひろすけ童話賞受賞。『消えた時間割』(学研プラス)は第52回緑陰図書
こがしわかおり[コガシワカオリ]
埼玉県に生まれる。出版社勤務を経て、フリーに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はる
62
絵の好きな少女の成長を描いたファンタジー。何故か絵を描くことを許さない母とけんかして家出した美音。伯母の営む画廊「風待ち」で暮らし始めた美音は、絵の中に入り込める不思議な力が自分にあることに気付きます……。こがしわかおりさんのリリカルな挿絵が、物語の叙情的な雰囲気を盛り上げていますね。挿絵の力は大きい。特に表紙は素敵。ハラハラする展開もあって楽しかったです。ラストは爽やか。2022/05/26
花林糖
23
図書館本。絵を描く事が好きな美音。しかし美音の母は絵が嫌いで教育ママ。夏休みに画廊を営む伯母の元に家出をする美音。母娘の葛藤の話かと思っていたら、絵に関して不思議な能力を持つ一族のファンタジーでした。こがしわかおりさんの挿絵と表紙絵が◎。2022/08/22
白雪ちょこ
22
最初は、中学生の青春ストーリーなのかと思っていたが、結構ファンタジー要素が強めで、不思議な感覚の、絵画を旅する物語となっていた。 挿絵の、筆ペンで書いたような、素朴でふわふわとしたタッチも可愛らしい。 絵に関する不思議な力や、その魅力なども、細かに描かれており、ページのところどころに描かれているイラストも可愛らしい。 主人公の美音の、ほのかな恋心や 助けてくれた翔の存在。 母親との葛藤も描かれていて、ファンタジーだけではなく、家族の絆や血筋などもうまく描かれていた。2023/12/14
anne@灯れ松明の火
21
YAの新着棚に面陳してあり、タイトル、表紙絵(こがしわかおりさん)に惹かれて。タイトル通り、不思議なおはなし。絵が好きな中学生・美音(みお)。でも、ママは、絵が嫌いで、美音が好むのも許さない。勝手に美術部も退部させられ、とうとう美音は家出を決意。少し前にママに届いた絵手紙の住所へ行ってみると、「風待ち」という画廊だった……。ファンタジーだが、美音の成長物語でもある。初めはひどいママに思えるが、読んでいくと、その気持ちもわかってくる。危険な場面に陥った美音がどうなるか、後半はドキドキだ。2022/06/23
マツユキ
16
嘘を付き、美術に入った事がばれた美音は、ハガキの差出人、月子さんを頼りに、家出をするが…。母親が、何故、そんなに美術を嫌う?!と思ったら、なるほど。確かに。恐ろしいけれど、爽やかな風を感じる、人と人との繋がりが暖かい、素敵なファンタジーでした。2023/03/22