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死物学の観察ノート―身近な哺乳類のプロファイリング

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  • サイズ 新書判/ページ数 188p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569616681
  • NDC分類 489
  • Cコード C0245

出版社内容情報

楽しいエッセイとイラストのミニ動物図鑑。

すぐその辺にあるネズミやモグラの死体には動物の生態の秘密がたくさん詰まっている。楽しいイラストとエッセイで綴る自然観察の魅力。

かつては博物学と呼ばれ、ダーウィン時代のヨーロッパや文明開化後の日本で隆盛を誇った形態学・分類学。しかし現在、特に日本でこれらの学問は流行らなくなり、「死んだ物を研究するから死物学」という蔑称まであるという。しかし、観察・分類し、仮説や推理を働かせてその生態を探る「死物学」にこそ、生物研究の醍醐味があると著者。

▼著者は、高松に住み、モグラやネズミ、イタチなど身近な動物の事故死体などを拾って解剖し、その標本をつくることを中心に、フリーで動物の野外調査を続けている。本書では、図鑑にも載っていないマニアならではのイタチの見分け方や、タヌキやモグラのペニスの恐るべき秘密等、日々の観察の記録をエッセイと挿絵で綴っている。ウィットに富んだ文章と精緻な中に可愛さのあるイラストからは、著者の生き物に対する愛情と、自然や動物との生身の触れ合いを取り戻そうというメッセージが伝わってくる。養老孟司氏も推薦の一冊。

●第1章 死物学ことはじめ 
●第2章 哺乳類を「観察」する 
●第3章 大きなイタチと小さなイタチ 
●第4章 「かたち」が意味するもの 
●第5章 識別する目 
●第6章 恐るべきペニス 
●第7章 体の中身 
●第8章 そこに死体があるわけ

内容説明

生き物の形を調べ、分類し、その行動や生態をよみとく形態学・分類学。かつて日本でも栄華を誇ったこれらの学問は、いまや「生物学の遺物」「死んだ物(標本)を研究するから死物学」とまで陰口をたたかれるようになった。けれど、動物の死体に出くわすことは、ぼくらの平凡な日常のちょっとした異常事態、ドキドキする出来事だ。マニアならではのイタチの見分け方、タヌキやモグラのペニスの恐るべき秘密etc.ぼくらの好奇心を刺激してやまない「死物学の世界」を一緒に探検しよう。

目次

第1章 死物学ことはじめ
第2章 哺乳類を「観察」する
第3章 大きなイタチと小さなイタチ
第4章 「かたち」が意味するもの
第5章 識別する目
第6章 恐るべきペニス
第7章 体の中身
第8章 そこに死体があるわけ

著者等紹介

川口敏[カワグチサトシ]
1968年生まれ。香川大学教育学研究科修士課程修了。教育学修士。現在、モグラの捕獲やワシタカ類の調査(環境アセスメントの仕事)で各地を転々としている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

57
人里に住むタヌキやイタチ、モグラなどの死体を通して生き物を観察する著者の誇りが書かれていた。というのはこの学問が今やあまり評価されないからだ。最後の方に書いてあった中学や高校で生物の解剖実習が減っていることについて原因は我が子が死体を扱うことに不満を持つ家族の非難が背景にあることを知った。またあとがきに、「生物学は死物学から始めて欲しい、生体の観察から始めると死体の観察ができなくなるから、生きているものは美しいが死んでいるものは醜い、そのギャップに感情が耐えられない」とあった。納得の言葉だ。面白かった。2016/01/14

ホークス

36
2001年刊。香川県在住の研究者による哺乳類の本。好奇心に従って調査するところ、解剖とスケッチが得意なところ、そして親しみやすい文章が盛口満氏と似ている。同じようなサイズと白黒模様でも、ハクビシンはジャコウネコ科、タヌキはイヌ科、アナグマはイタチ科と、全く別系統だと分かった。収斂進化の身近な例として面白い。サメと魚竜とクジラなどはほぼ無縁だけど。ペニスの形が様々である事をスケッチと生態から解説している。内部に陰茎骨が有る無しを含めて興味深い。進化は多様な可能性を与える一方で、生き物を宿命づけてもいる。2023/10/17

3
生物を選択しなかった高校生以降全く動物に関心を寄せなかった私が、毎月1度は動物の解剖・解体をする事になったのでそれっぽい本書を読んでみた。 生物関係の学問に今から身を投じようという人なら読んで損はない。学校の授業が主にただの覚えゲーになってる中で、生物学(死物学)の楽しみ方・考え方を雄弁に語ってくれている本書は少なからず、一人の人間を生物学に引きずり込むに成功したと言えるでしょう。 2013/04/26

麦子ちゃん

2
不思議な力が働いて、どれだけ偉い方かわからずに著者である川口さんご本人に、鳥の解剖に関する疑問や、どうやってあの精緻なスケッチを描かれているかなどを思いつくままに質問させていただく機会が先日あった(!)刺激的な出来事で、死物学の道に入らんとせん自分の大学生活において、この人からは学ぶべきものが沢山あると感じ、まず著書を読まねばと手に取った。書かれている内容が今まさに私生活で取り組んでいること(死体の標本化/解剖等)だったので、夢中になって読んだし、当然勉強になることも多かった。私も川口さんのようになりたい2020/11/15

田蛙澄

2
著者の標本作りや死体収集の話、生物をどういう特徴で分類すればいいか、それらの特徴からどういう仮説が作り出せるかなどといったことが分かりやすく説明されており、骨のスケッチも豊富に載っていて楽しい本だった。こういう博物学的な話はわくわくする。2018/08/13

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