内容説明
「現代彫刻」がもし珍奇なものだとすれば、それはわれわれの時代が奇妙なものだということに他ならない。「彫刻」が矛盾の塊になってしまった時代にあっても、その精神的必要性は存続しつづける。彫刻観の変貌を読む。
目次
1 芸術と技術(仏像という彫刻;現代の彫刻とはなにか;ロダンとシーガル)
2 パンと彫刻(芸術の非合理性;ダダと超現実主義;オブジェの出現;人体像の誕生)
3 古典彫刻の崩壊(ボッチョーニの予言;立体派と物質;デュシャン=ヴィヨンとアーチペンコ)
原始芸術への共鳴
ゴーギャンとピカソ
コンスタンチン・ブランクーシ
4 物質の氾濫(デュシャンと「レディメイド」;「メルツ」とシュヴィッタース;ジョーンズの擬似既成品)
5 自然と彫刻(抽象化と抽象彫刻;アルプの具体芸術;ムーアとヘップワース;ゴンサレスと鉄彫刻;ジャコメッティの矛盾;毛利武士郎の《祭殿》;セザールのプレス彫刻;ケメニーの金属レリーフ)
6 空間の探究(構成主義の新造型タトリンの《反レリーフ》;フォンタナの「空間主義」)
7 動く芸術(コルダーの「モビール」;シャン・ティンゲリー)
8 組み合わせと複合(アンソニー・カロ;触覚性の喚起)
9 現代彫刻と文化(鑑賞という行為;彫刻と文化;美術館とはなにか;現代の創造)