内容説明
明治から平成まで、“日本のごはん”は何に翻弄されてきたのか?「きょうの料理」「ビストロSMAP」「カリスマ料理研究家」「粗食ブーム」「カフェめし」等々、古今のメディアとブームを俎上にのせて読みとく!「今夜のおかず」の悩める百年。
目次
第1章 文明開化は食卓から(明治時代)
第2章 料理は民主化されたか?(大正時代~昭和初期)
第3章 食糧難をふみこえて(昭和二〇年代前半)
第4章 家庭料理の高度成長(昭和二〇年代後半~平成)
第5章 バブルとホンネとイメージと(昭和50年代~平成)
第6章 家庭料理は誰のもの
著者等紹介
山尾美香[ヤマオミカ]
1976年愛知県生まれ。1999年東海女子大学文学部卒業。2003年東京大学大学院人文社会系研究科修士課程(社会情報学)修了。大学院在籍中に結婚、出産し、その新米主婦時代の悩みから、本書のもととなった修士論文のテーマを思いつく。四年がかりで修士課程を修了し、現在は夫と子ども二人とともに岐阜県在住
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感想・レビュー
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shikashika555
46
家庭での食の供給は主婦の仕事という価値観の中で生きてきた。 さてその価値観はいつ、どのような経緯によってつくられたのだろう。 元々日々の食事は現在のように変化を求められるものではなく愛情を計られるものでもなく出来栄えを評価されるものではなかった。 戦後の経済成長に乗って「伝統の家庭料理」がつくられる過程を読み、こんなモノだったのか、と気持ちが楽になった。 出来合いものや外食に対する「引け目」も、料理教室や番組界隈の心理操作にうかうかと乗ってしまった結果であったのか。 そんなことだったのか。2022/02/13
きゅー
9
料理番組や料理本を調査することで、家庭料理に対する社会的要請を解き明かそうという一冊。「きょうも料理」しなくちゃという憂鬱な気持ちは多くの主婦が抱くものだろう。そこには、レトルトや中食を使った料理では愛情が足りないと思われてしまうという不安が介在している。手作り=愛情の是非はともかく、そうした社会的通年の醸成が料理番組によって後押しされていったことを見ていく。他方で、料理番組や料理本以外による影響力(政府の指針や国際的な情勢)の分析にはあまり頁が割かれておらず、物足りない部分も感じられた。2022/03/08
ヨシオ・ペンギン
2
家庭料理はどのように論じられてきたか。家庭料理が愛情とセットに語られるようになったのは高度経済成長から。それは家電製品の普及によって利便性が上がったことから手数=愛情が逆照射されたからなのだった。歴史を辿ることで現在の当たり前の苦痛から解放することができる典型だなと。2022/02/20
奇天
2
タイトルと着眼は秀逸だが、牽強付会の印象が強く残った。修士号を取っていてコレとはと思ってしまう。良妻賢母にせよ社会システムからの圧力は確かにあるが、一方で女性自身がそれを望んだという面もあった。個々の事例についてつぶさに検証していかないと、すべて社会が悪いで終わってしまう。家事への意欲が低くても経済力のある男性の方がその逆よりも、社会的にも女性の側からも遥かに求められている現状があり、そこに風穴を開けないと大きな変化は望めない。もう少しそうした点に示唆を富む内容であればよかったのに。2012/10/11
skr-shower
1
他地区図書館本。2004年出版時の空気感もあるフェミニズム感。料理(母・女性)に夢を持ちすぎではないか…愛情だの伝統だの、ご飯汁物香の物の食卓はエネルギー摂取だし、上流家庭の奥様は自分で料理しない。結局明治政府以来の国家上層部のファンタジー脳(いや、使い勝手の良い駒扱い)に100年以上踊らされてるってこと?2023/05/16