白水Uブックス
ナジャ

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  • サイズ 新書判/ページ数 190p/高さ 18X12cm
  • 商品コード 9784560070789
  • NDC分類 953
  • Cコード C0297

出版社内容情報

 現実のパリの町で詩人が偶然に出会った妖精ナジャ。シュルレアリスムの大天使ブルトンに於て達成し得た比類ない真の生のドキュメント。「私とは誰か」という人間の根本的な問いかけ、愛と自由についての研究、シュルレアリスム精神の極地、その未来への懇請が奇跡的に浮き彫りにされている。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Gotoran

39
“自分とは何もの”という命題の考察で始まり、パリで出会った女性『ナジャ』との交流が、思いのまま自動記述で書き綴られていく、小説のような、日記のような作品。『ラカンの精神分析』(新宮一成著)で引かれていた本書。興味本位で読んだ。フロイトの「エス(無意識)」が想起されるも、難解さが先に立ち、通読の域を出ず。シュルレアリスムの理解を深め、リベンジ(再読)したい。2014/11/25

OjohmbonX

7
謎めいた女、って喋らせずに隠蔽する素振りによって安易に描かれたりするけど、そうじゃない。このナジャ、自分がどう考えてるか何を見てるかひたすら語りまくる。なのに謎めいた女なんだ。過剰な饒舌さで単一の意味に収まらないって点で謎なのであって、これを他者性と呼べるのかもしれない。他者とはわかりきることのない存在である。それでナジャが目の前から消えると、急に私の理解の範疇に収まり始めてついに「これは、私自身なのか?」と呟くことになる。他者性が消失するとモノローグにならざるを得ない、そんな帰結を目の前で実践する小説。2013/08/31

子音はC 母音はA

5
ブルトンがナジャとの出会いから紡ぎ出すシュールレアリスムの思考実験。街の中で出会ったひとりの女との交わされた言葉の遊戯に酔いしれる。確かにそこでナジャは存在し会っているはずなのに、存在していない感覚。ナジャを通して自己存在の所在を見出そうとするブルトンの問答。写真小説、都市小説の系譜としても読み解くのも面白そうである。2014/08/17

水原由紀/Yuki Mizuhara

5
写真がついている小説、ということで一読。ゼーバルトとは違って本文に対応したキャプションがつけられているため、写真は小説自体を読み解く補助線として配置されている。本文の長い修飾から来る読みづらさや目の滑りはマイナスではなく、一文あたりの持つ情報量の多さ・密度の高さを確保し、文章がなかなか終わらないこともあいまって時間の流れや飛躍といった要素を多分に含んでいる。こうした文章密度の確保や終わらなさは良い。で、たぶん、この本は飛ばし読みしてもいい。というか、飛ばし読みした方がいい。楽しいけど疲れちゃうしね。2013/02/24

邪馬台国

3
冒頭から突き離すような文章で久々にとっつきにくい本でした。中盤、ナジャの登場と共に流れるように文章が入ってくるのですが、彼女の退場と共に読み進めるのに気力を求められる文章に。ブルトンないしシュルレアリスムの流れを汲んだ上で取り組まなかったのできつかったのかも。ナジャの描写は魅力的なので印象的な一冊にはなりました。2020/07/19

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