出版社内容情報
破壊とテロリズムにまつわる陰惨な背景ゆえに、国家とマルクス主義の両者から一様にタブー視されてきたアナーキズム。本書は、アナーキズムの起源から説きおこし、バクーニン、ブルードンなどの理論家の実像に迫り、運動の実際を記す。複雑多様な面をもつ、アナーキズムを理解するのに格好の入門書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
5
巨漢で、スポーツマンのような肉体をもっていたというバクーニン。「バクーニンはロシア的、徹底的にロシア的である。ふとした人生の気まぐれから西欧文明の渦中に投げこまれた彼は、同文明の体内にひそむ崩壊の芽を発見する。ヘーゲル左派の大胆な批判は彼を燃え立たせ、みずからも批判を引き受けるほどになるが、ブルジョア文明によって去勢された西欧はもはやこれらの批判を現実の領域に転化する能力なしとみなす。まさに退廃に侵されていないという事実からして、スラヴ人だけが《革命》の暴力によって世界を蘇生できるとする」2021/03/09
ゆきんこ
1
シュティルナーをメインに。筆者は明らかにアナキズムに対して懐疑的。クロポトキンの記述は薄いが、思想メイン。2021/09/28
nobody
1
最低限望むことは、これはマナーと言い換えてもいいかもしれないが、アナーキズムの解説は、アナーキズムを侮蔑する者からは学びたくないものである。本書は、アナーキズムを学ぶために、全く何も役立たない。いかにも三流学者的な意味ありげなもってまわったレトリックと稚拙な誤訳が相乗効果を生み、悪弊が二重に倍加されている。で、こんな本にまともに付き合って読み通す者は皆無なので、誰からも批判を受けることなくお高くとまっていられるという構図。読むなら良書を厳選せねばならないという教訓こそ、本書から得た唯一の成果であった。2016/04/24
かいちょう
0
きわめてあっさりとした、西洋アナーキズムの解説。例えば、シュティルナー、バクーニン、プルードン、トルストイ。 ただし、文法はあっさりしていない。 そのため、あまりアナーキズムの魅力は伝わらないと思う。どちらかというと、アナーキズム研究の際に使える、思想の軽い要約と言うべき。2018/11/08