出版社内容情報
本書はヨーロッパ文学のみならず、人間の精神史のうえで重要な意味をもつ象徴主義文学の、マラルメからシュールレアリスムにいたる概説書である。読者は本書読了後、ふたたびマラルメのソネット、ランボーのイリュミナシオン、ラフォルグの嘆きぶし……を読めば、楽しみは一層増加することになろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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7
詩を中心とするフランスのサンボリズムの系譜をたどる、ささやかな文学者列伝です。「フランス詩の歴史における最後の大事件」としてのサンボリズムは、マラルメやランボーら4人の先駆者と退廃の詩人たちによって準備され、1886年に教義として確立された。しかし、「象徴の創造=現実の創造」というその教義は、作者の独自性を強調することにより大衆読者との断絶をもたらし、文学者を疲弊させる。その結果、文学者たちは出来合いの「偽の象徴の目録」に手を伸ばしてしまう。その後、象徴主義は批判され、シュルレアリスムなどに受け継がれた。2016/05/06
∃.狂茶党
1
象徴によって語ることについての簡潔な歴史。 初めのうち詩人達の紹介が続き、カタログ的な本なのかなと思いましましたが、数名の主要な人々を語ることで、象徴主義とは何かといったことが浮き上がってくる。 純度の高い考えである、象徴主義は、数人の先駆者ののち、象徴主義と名前を得てからは、ほとんど解体していくようであるが、シュールレアリスムにその精神が引き継がれる。 非常に薄い本ですが、巧みな作りになっていると思います。 2021/07/01
sk
1
サンボリスムは創作に高次の目的を設定した。目的を見失っている現代の実作者たちに刺激を与えてくれる本。2009/08/26
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