内容説明
「なぜ1954年になって水俣病が多発したのか」「なぜ水俣で大惨事が起きたのか」―いま、その謎がついに解かれる。事件の原因と因果の関係についての、あいまいさやあやふやさのない科学的説明。
目次
序章 解かれなかった謎
第1章 水俣のチッソのアセトアルデヒド工場(チッソ水俣工場の中に入る;アセトアルデヒド工場の現場;工場をつくった技術者―その技術力と思想 ほか)
第2章 海のメチル水銀汚染(患者の発病時期に関するデータ;動物にあらわれたメチル水銀中毒;魚に異変が起こっていた ほか)
第3章 メチル水銀の生成から排出まで(メチル水銀とは;なぜ水銀が使われたか;水銀触媒の脱線反応 ほか)
著者等紹介
西村肇[ニシムラハジメ]
1933年東京生まれ、満洲育ち。1957年東京大学工学部機械工学科卒業。1959年東京大学化学工学科大学院卒業。1980年東京大学工学部教授。1993年東京大学名誉教授。現在、(有)研究工房シンセシス主宰
岡本達明[オカモトタツアキ]
1935年東京生まれ。1957年東京大学法学部卒業、チッソ株式会社入社。1970~77年チッソ水俣工場第一組合委員長。1990年チッソ株式会社退社。現在、水俣病市民会議会員
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感想・レビュー
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Hiroki Nishizumi
4
大変考えさせられた。水俣病が広まったのはチッソの官僚的・前近代的体質であることは類書から分かっていたが、発生のメカニズムは初めて理解出来た。と言っても化学式や数式が正確に分かった訳ではなく、マンガン使用中止によりメチル水銀排出量が増えたという概念的なものであるが。いずれにせよ何事も結果オーライとして帰納的にモノが出来れば良い訳ではなく、演繹的に物事を掴む必要性を感じた。2019/03/22
takao
3
ふむ2023/07/22
だちょう
0
第三章の工場の原材料使用量、廃棄量から、プロセス工学、反応速度論を用い、メチル水銀の排出の推移を算出するのが面白かった。2020/11/04