創元推理文庫<br> 聖者の行進

創元推理文庫
聖者の行進

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  • サイズ 文庫判/ページ数 379p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488604073
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ニミッツクラス

29
04年(平成16年)の税抜660円の17版。本書は93年からの新装版。米本国76年刊行で、旧来の短編群ではなく、66~76年までの著者の最新短編12編となる。作品の多くはスーザン・カルヴィン博士から始まるUSロボット社物を含む著者の真骨頂の分野。それと“ポスト大破局”が背景にあるシェアードワールドのような世界の作品があり、全体としてアシモフな仕上がり。底本の原題は映画「アンドリューNDR114」の大元の短編(脚本の元は長編)「バイセンテニアル・マン」だが、邦題は他作品「聖者の行進」を採用。★★★★☆☆2022/07/23

亮人

25
ロボット物は読まず嫌いだったので、初アシモフ。傑作と名高い「バイセンテニアル・マン」は読んでおきたいと思い、古本屋で見つけて飛びついた。本当に傑作だった!芸術の才能を見つけてもらったロボット・アンドリュウが、人間への道を求めて一歩一歩進んでいく話。ラスト近くのアンドリュウが「バイセンテニアル・マン(二百年の人)」という言葉で呼んでもらった時の機微とか、じーんと心動かされた。また家族の優しさもいい。ロボット短篇もいいが、それ以外の「ウォータークラップ」「篩い分け」「前世紀の遺物」などの発想も面白かった。2016/02/15

ヒダン

20
アシモフと言えばロボット。短編の冒頭にロボット三原則が毎度のように書いてある。次の短編が始まる前に、その短編が雑誌に掲載された経緯や編集者との関係などを直々に紹介していて興味深い。ロボット三原則の限界、境界領域へと踏み込んでいく「心にかけられたる者」と「バイセンテニアルマン」はいずれも傑作。とりわけ後者は自分を犠牲にしてでも達成したいという想いの深さに感動した。「マルチバックの生涯とその時代」は深い余韻をもたらす短編。これが自分には一番面白かった、ミステリの風味を感じるものもちらほらあった。2017/09/18

roughfractus02

11
1970年代のロボットものを中心とした作品を収めた本書は、ロボットが人間に近づく際の創造性、直観力、死を得る身体の実装や人間とロボットの関係の変化をテーマに進む作品が多い。それら世界では「ロボット三原則」があらわな社会や暗黙に浸透しているような社会もある。一方、学習するロボットというモチーフは、自らを修理するコンピュータが人間の思想を管理する社会や影武者か本物か見分けのつかない米大統領のいる社会へと進むように見える。そんな世界では、問題解決はロボット間で行われ、ロボットのように脳波をいじられる人間がいる。2023/08/01

葵衣

11
短編集。やはり『バイセンテニアル・マン』が一番のお気に入り。ロボット離れした芸術的才能を奇跡的に持ち合わせたアンドリュウ。人間と同じように思考し、知識を欲し、そして少しずつ“人間”へと近づいていく。二百年に及ぶ彼の一途で切実な願いが、心にズシンとくる。彼がこれほど人間に憧れたのは、温かく優しいマーチン一族がそばにいてくれたからなんじゃないかと思う。その他には、『女の直観』『ウォータークラップ』『天国の異邦人』などが特にお気に入り。どのお話も面白すぎて、わくわくが止まらなかった。楽しかった。2016/03/17

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