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内容説明
ダイイングメッセージ、クローズドサークル、犯人特定の論理、読者への挑戦―。第1部では探偵小説を語る上で不可避の論点に、エラリー・クイーン初期の傑作『ギリシア棺の謎』『シャム双子の謎』などを引きながら挑む。第2部では“第三の波”とポストモダニズムの照合によって浮かび上がる、探偵小説の歴史的位相を鮮やかに解明する。法月綸太郎氏との対談も収録。話題を呼んだ『ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか?』に続く鮮烈な評論集。
目次
はじめに―探偵小説と二〇世紀精紳
1 形式体系と探偵小説的ロジック(クローズドサークルと叙述トリック;探偵小説キャラクターのアイデンティティ;被害者とダイイングメッセージ ほか)
2 第三の波とポストモダニズム(過渡期にある第三の波;透明な世界の不透明化;人形の時代とポストモダニズム ほか)
対談 現代本格の行方(vs.法月綸太郎)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
27
本書を読む前に少なくとも、クイーン「ギリシア棺の謎」「シャム双子の謎」、クリスティ「そして誰もいなくなった」、中井英夫「虚無への供物」を読んでおいた方がいいだろう。モロにネタバレされて、論議の対象となっているからである。最後1/3は、20世紀という時代と探偵小説について、政治・文学・戦争をからめた壮大な議論になっているが、多くの作家が「単にミステリを書きたかっただけ」というのなら、ここに論じられた深い論考は。果たしてどれだけの意味を持つのだろう。無自覚に作品に反映されてしまう時代精神として認めるべきか。2015/06/30
ちくわ
26
後期クイーン問題に触れているところは読んでて面白い。難しいのでちょくちょく再読するとして後半部分は正直よくわからない2016/11/27
風見鶏
2
卒論の参考資料に。「大量死」「大量生」には納得がいかない。氏の探偵論序説をテクストにすると、探偵小説の構造と矛盾しているように思える。別所で有栖川有栖氏も疑問点を述べてはいたけれど。2014/12/18
翔亀
2
前半の第一部を読了。130ページまるまるクイーンの「ギリシャ棺桶」と「シャム双子」の解読。最近出た飯城勇三『エラリー・クイーン論』への反論も含まれる。メタ証拠という後期クイーン問題を巡る力作だが、ちょっとくどいかな。同じ主題を扱っている法月綸太郎と小森健太朗と北村薫の説と比べてみたい。■872013/10/06
ハチワレノヤマ
1
第二次世界大戦という莫大な数の死が探偵小説に多大な影響を与えているという話が良かった。全体的に面白かったけどさっぱり頭に入ってこない……。2012/11/06