出版社内容情報
一世を風靡したベストセラー、生活に密着した実用書など、古書店では値段もつかない忘れられた本にこそ、時代を映したほんとうの面白さがある。
内容説明
一世を風靡した大量に出回ったベストセラーや、生活に密着した実用書など、どこの家庭にもあったような本は古書店では二束三文だ。だが、これら古書値もつかない、捨てられた本や忘れられた本にこそ、時代を映した面白さがあるのだ。古本ライターが雑本の山から昭和を切り取る。
目次
大人の男はどこに消えた
憧れの大東京
旅と娯楽
科学とリクツ
暮らしの片すみ
時代をうつす本
ぼくの時代
著者等紹介
岡崎武志[オカザキタケシ]
1957年大阪府生まれ。立命館大学卒業後、高校の国語講師を経て上京。出版社勤務の後、フリーライターとなる。書評を中心に各紙誌に執筆。「文庫王」「均一小僧」「神保町ライター」などの異名でも知られ、近年の古文ファン層拡大に大きな役割を果たしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
14
雑誌や新聞に連載していた記事を集めた一冊。今となっては見向きもされないような雑誌や本を取り上げて、その時代背景や関連する本とともに紹介をしている。おそらくサービス精神旺盛な著者なのだろう。情報量が多くて、主となる雑誌や本の内容以外に意識が向かってしまうのはご愛嬌か。雰囲気を楽しむ一冊だと思って開いたが、どちらかと言うと知識を楽しむ一冊だった。2018/05/23
たくのみ
14
古本道の岡崎さんによる、古本から見た昭和の暮らし。雑本の中に描かれた日常こそ、忘れられた生活の断面なのだ。団地暮らしが「理想的」だった時代のマンガ『アパートちゃん』。松島トモ子似の少女の表紙が素晴らしい。阿川弘之の『なかよし特急』、1970年の大イベント『これが万国博だ』、郁恵ちゃんの笑顔がまぶしい『中一時代』。この辺は楽しそう。残念なのは半分くらいしか「表紙絵」が載っていないこと。あと、もっと時代を絞ってみたほうがトリップできたのになあ。2015/07/20
sawa
7
★★★☆☆ 古本から見た昭和の生活。宴会で披露する隠し芸に頭を悩ますサラリーマン、大都会・東京に夢を抱く地方人、「科学」に心をときめかせる子どもなど。なんだか昭和ってのんびりしてて、いいなあ(自分も昭和生まれなんだけど)と思うけれども、来るべき戦争に向けてカラダを鍛えよと促す、関東大震災での怖い経験を語る子どもだったり、もちろん手放しで昭和バンザーイ!なんてわけにはいかない。(図)2012/04/28
kuukazoo
6
昭和の都市生活者が普通に読んでいたと思われるような一般向け本やガイドブック、パンフレットなどを取り上げ、当時の暮らしや社会情勢や空気感みたいなものについて語っていく。始まりは1冊の古本であっても、突っ込んで調べていくとどこまでも奥が深い。自分の専門外であっても好奇心をもって踏み込み、まだまだ知らないことがいっぱいあることに喜びを感じられるのは素敵なことだと思う。軽く読めるかと思ったが、ちょっとボリューミーな内容だった。2018/01/31
うめけろ
6
いやあ、参りました。古本屋さんとはほとんど縁がない僕ですが、この本は古本への興味をかき立ててくれました。稀覯本を探すばかりが古本の楽しみ方じゃないんですね。まったく無名の、それこそ本ですらないパンフレットでも、その時代、作者、地域へとタイムスリップするような楽しみ方ができるんですね。文体も読み易いし、堅苦しくないし、古本屋さんへ行きたくなりました。単純に本に興味がある人にはオススメです。2012/06/25