出版社内容情報
関東のはずれ、とある町に暮らす高校生たち。ものすごい悲劇が彼らを襲うわけじゃない。だけど毎日どこかで、少しずつ、傷ついている…。ある日ふと、傷ついた場所に包帯を巻いてみたら、気持ちがすっと楽になった。それが「包帯クラブ」のはじまりだった──。ワラ、デシノ、タンシオ、ギモ、リスキ、テンポ。悩み、考え、行動し、挫折し、また立ち上がる少年少女。友だちの危機を救うため、「包帯クラブ」は町を疾走する!
『永遠の仔』の天童荒太が、「いまこれを書かなくては」という思いに後押しされ、6年ぶりに書き上げた、小さいけれど大きな物語。
内容説明
傷ついた少年少女たちは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした…。いまの社会を生きがたいと感じている若い人たちに語りかける長編小説。
著者等紹介
天童荒太[テンドウアラタ]
1960年、愛媛県生まれ。作家。大学卒業後に執筆活動に入る。’86年『白の家族』で第13回野性時代新人文学賞。’93年『孤独の歌声』(新潮社)で第6回日本推理サスペンス大賞優秀作。’96年『家族狩り』(新潮社)で第9回山本周五郎賞。2000年にはベストセラーとなった『永遠の仔』(幻冬舎)で第53回日本推理作家協会賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
88
誰もが心に傷を抱えて生きていることが痛みとして刺さります。その傷と向き合うことも、傷つけるものと戦うこともせず、ただ大切なことを守るという決断しか少年少女たちにはできなかったように思いました。ただ、傷ついた部分に包帯を巻き、そして傷ついた心を隠すだけの遊戯的な優しさを見たような気がします。見て見ぬふりをするのではなく、包帯を巻くという行為でその傷を自分なりに癒そうとする。それは不安定でもろく崩れるような年頃の登場人物たちの象徴とも感じました。2016/12/10
美紀ちゃん
80
再読。天童荒太さんは、「永遠の仔」が良くて、他の作品もたくさん読んだ。電子図書館の読み上げ機能が付いていたので久しぶりに借りて読む。(聞く)煌めくものがある話だと改めて思う。名前の印象も強くて覚えていた。井出埜で「ディノ」痛みを癒すアイテムとしての包帯。泣いたり笑ったり、嫌なことを乗り越えたり。それがずっと大人になっても輝いている青春の光なのだと思う。良かった。2022/07/21
Yuna Ioki☆
66
930-133-12 久々の天童荒太作品。青春の一ページやねぇと思う作品。目に見えない心の傷を持っていない人はいないし、その傷を表に出さないひとがほとんどだしね。ラストにクスリと笑える天童作品は珍しい(笑)2015/04/12
うっちー
52
16年振りに続編が出るとのことで読みました2022/03/15
chimako
44
ちくまプリマーで再読。今はもう無いのか?残念。これは高校生たちのイタミを分かろうとするクラブ活動。部員が大人になってからの報告が効いている。傷つかないで大人になることは稀だし、もちろんオトナだって傷つく。その傷をわからなくても、包帯は巻ける。人の痛みを分かるのではなく、人の痛みに寄り添う。そうやって高校時代を送った彼らが世界のあちこちで(もちろん日本国内でも)痛みに寄り添おうとしている姿が目に浮かぶ。ワラ、ディノをよろしく頼みます。きっと彼は無茶を繰り返すから。寄り添える人になりたい……そう思う。2013/12/02