内容説明
文字の奥にひそむ老子の声、それを聞きとるのは生命のメッセージを感得することだ。さりげない詩句で語られる宇宙の神秘と人間の生きるべき大道(タオ)とは?生き生きとした言葉で現代に甦る『老子道徳経』全81章の全訳創造詩。
目次
1 道―見えないパワー(道―名の無い領域;「汚い」があるから「美しい」が在るのさ;飯だけはたっぷり喰う;まず、空っぽから始まる ほか)
2 徳―現われたパワー(徳―大きな愛;五郎太石でいればいい;returning―道の原理;たいていの人は馬鹿笑いする ほか)
著者等紹介
加島祥造[カジマショウゾウ]
1923年東京生まれ。詩人。早稲田大学英文科卒業。米国カリフォルニア州クレアモント大学院留学。信州大学・横浜国立大学を経て、青山学院女子短期大学教授を最後に退官(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
134
老子の『道徳経』を加島氏が詩的な口語訳にしたもの。老子の思想はつかみ所のないものだが、本書を読むとすうっと胸の中に入ってくる。頭ではなく、胸に入ってくる感じが面白い。あれこれ考えずに大道(タオ)に身を任せるには、頭で分析するより心で感じ取ることが必要なのだろう。本全体に明るく伸びやかなトーンが漂っており、それを全身で受けとめるのはわくわくする楽しい時間だった。2015/06/01
散文の詞
33
『老子』を自由体口語詩というか、著者が訳したというか。 著者も書かれているが、原文といかに違うかを察するのだそうだ。 『老子』を原文で読んで理解できるほどの才能は当然ながら、持ち合わせてないので、あくまで察するだろう。 さて、原文もわからないし、その訳したものもよくわからない。 やはり、こういうのは、文才や読解力等備わっている人が読んで、そういう意味だろうとか、いや、こういう意味かと判断して理解するのだろう。 私には、残念ながら全く響かなかった。 2019/10/27
inami
27
◉読書 ★3 別の本を本棚で探しているときに本書が目に留まり、あれっ!いつ読んだっけと思い再読することに。20年前に読んでいたようですが内容は当然覚えていません(笑)。人間がもつ宇宙認識と社会意識の間の大きなバランスを感じ取ることで、安らぎやくつろぎの気持ちが湧くと著者は語る。人間の行き過ぎる行為に「争うな」「自ら足ること」といった言葉をいくども発していた老子。タオ(道)のあり方にいちばん近いのは天と地であり、タオの働きにいちばん近いのは水の働き→「上善如水」(この日本酒、実にうまいんだなよなあ〜 笑)2021/11/10
Kazehikanai
21
老子を独自解釈で詩に変換。老子自体が抽象的だが、それを個人が解釈をし、さらに抽象的な詩で表現しているので、もはや老子ではない。底流には老子の思想があるだろうが、読み取れたのは草食動物になれということに思える。現代社会に生きる人間としては、現実逃避に思えないでもない。田舎暮らしに幻想的なあこがれを抱いてしまう私も同じだが、結局ないものねだり。こういう思想や言葉は、全面的にではなく発想的背景を血肉の一部にし、言葉の一部を処世に活かすという視点が必要。そこで思うのは、私自身が現代社会の一部であるということ。2016/08/19
ヨミナガラ
21
“道(タオ)――名の無い領域”“これが道(タオ)だと口で言ったからって/それは本当の道(タオ)じゃないんだ〔…〕まずはじめは/名の無い領域であった。/名の無い領域から/天と地が生まれ、天と地のあいだから/数知れぬ名前が生まれた。/だから天と地は/名の有るすべてのものの「母」と言える。/ところで/名の有るものには欲がくっつく。欲がくっつけば、ものの表面しか見えない。無欲になって、はじめて/真のリアリティが見えてくるのだよ”“道(タオ)につながる人は/あれこれ欲しがる心を抑えて/飯だけはたっぷり喰う。”2014/10/24
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