ちくま学芸文庫
死と狂気

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  • サイズ 文庫判/ページ数 284p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480087157
  • NDC分類 493.71
  • Cコード C0111

内容説明

ここに6人の重篤な精神分裂病者がいる。“死”にとりまかれた彼らの狂気を診るにつけ、その病の本質がみえてくる。“死者”を死者たらしめることができないとき、人は狂気の淵をのぞきこむ。翻って、私たちの生は、無量無数の死者たちに支えられ、歴史として構造化される時初めて、主体性を贈与されるのだ。私たちは死者によって生かされている。日本独自な民俗的土着信仰、他界観を規定する死者たちをも射程に入れながら展開するわれわれの精神史の古層からの狂気論。

目次

死と狂気―序にかえて
お盆の思い出
死者と歴史
狂気のなかの死者経験と死の経験
本来の力を獲得する死者
実体化する死者
消滅する死者
他者と言葉と主体
他者の死性
死体を生きる経験
太陽とその死
ネオ=ロゴスの掟
狂気のなかの未来仏
死者の生殖
分断された死体
変身する死体
狂気と土着信仰
死者の発見―結語にかえて

著者等紹介

渡辺哲夫[ワタナベテツオ]
1949年茨城県生まれ。1973年東北大学医学部卒業。都立松沢病院、東京医科歯科大学勤務を経て、現在、正慶会栗田病院副院長。東京医科歯科大学医学部臨床助教授。医学博士。精神病理学専攻
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

林 一歩

23
心の奥の深淵なんか見なくて良い。三秒あれば、人間なんて簡単に狂ってしまえるのだから。何故、このタイミングで再読しちゃったかな…(苦笑)2014/03/22

林 一歩

22
通勤の往復で再読。楽しく拝読するような代物ではない。人間なんか三秒あれば狂えるし、死ぬこともできる。その程度に考えとかないと、この糞みたいな世の中は生きて行けない。それを時々思い出すために、僕は繰り返し再読するのだ。狂ったことも死んだこともある人間だから、時々担保が欲しい訳だ。死ぬのはともかく、狂うのは二度と御免だから。2014/06/06

林 一歩

10
行き詰った時に再読する事が多い。普段、生活していくうえでは知らなくても良い感情が溢れていて、逆にそれを反面教師として「頑張らなくっちゃ」などと思えればいいのだけれど、ナニモノか良く存じ上げない著者の狂気への感情移入が半端なく、凹んでいる時にはやはり読むべき本ではないなと、今回も思った次第。そんな意味では万人向けではないし、オススメできる本ではない。2012/07/03

JunTHR

4
死者が「死者」として、「歴史」としての適切な存在性格を与えられずにいるとき、人は狂気に陥り、そこで創出される論理・言葉を「ネオ=ロゴス」とし、その分析を通して、狂気に対峙する。そして、それは「サイエンス」「精神医学」以前の方法で。というようなことなのだが、気軽に読み始めた自分にはあまりにも難しすぎる。歯が立たない。 ただ、詳細に書き起こされる「狂者」の言葉の、その凄まじい迫力だけで十分読み応えがある。手垢まみれの「深淵をのぞく時…」という例の警句が思わず脳裏をよぎる。飲み込まれそうなほど。とんでもねぇ。2013/06/08

AR読書記録

2
全く未消化.最初は,狂気を通して見える死を考えることで,(一応)狂者ではない我々が無意識に隠蔽している死との根源的つながりを探る,みたいなところがあるのかと想像していたんだけれど,なんていうか,狂気の世界への没入の仕方がハンパないというか... 圧倒...2012/05/31

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