ちくま学芸文庫<br> 乱歩と東京

ちくま学芸文庫
乱歩と東京

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  • サイズ 文庫判/ページ数 283p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480081445
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0195

内容説明

探偵小説作家・江戸川乱歩登場。彼がその作品の大半を発表した1920年代は、東京の都市文化が成熟し、華開いた年代であった。大都市への予兆をはらんで刻々と変わる街の中で、人々はそれまで経験しなかった感覚を穫得していった。乱歩の視線を方法に、変貌してゆく東京を解読する。

目次

1章 感覚の分化と変質(探偵の目;目と舌と鼻、そして指)
2章 大衆社会の快楽と窮乏(高等遊民の恐怖;貧乏書生の快楽)
3章 性の解放、抑圧の性(姦通;スワッピング)
4章 追跡する私、逃走する私(追跡する写真;逃走の実験)
5章 路地から大道へ(もう一つの実験室;大道芸人たち)
6章 老人と少年―30年代から60年代へ(埋葬;少年誘拐)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しずかな午後

7
1920年代の江戸川乱歩は「人間椅子」「パノラマ島奇談」「屋根裏の散歩者」「芋虫」「陰獣」といった珠玉の作品群を発表する。後の少年探偵団シリーズとは打って変わった大人向きの作品たちだ。本書は、これらの作品を関東大震災(1923年)をはじめ大きな変化の中にあった当時の東京の時代背景のもとに読み解いていく。これがとても面白い。たとえば「人間椅子」に和洋折衷の住宅事情を、「屋根裏の散歩者」に単身者の増加を、「陰獣」に浅草が最大の繁華街であった当時の地理を、それぞれ補助線に読んでいくのだ。本当に面白い一冊。2023/10/16

いなお

4
同潤会アパートのない東京で本書を読むということ/乱歩は東京を愛していたのだろうし、その愛し方がとても好ましい/絶版のようなので、見かけたら手にとってみたほうがいい2016/04/26

とみぃ

4
小説のすぐれた読み手に出会う至福は、これは何にもかえがたい。こんなところに注目してみたら、と、すっと差しだされた導きの糸をたどりたどるうちに、思いもかけぬ眺望がひらけて、思わずためいきをつく。どこの馬の骨かわからない人々が集まる都市、得体の知れない秘密をかかえる人たち、その秘密をのぞき見たい欲望。それやこれやは、単なる仕掛けとして読み飛ばして良いのではなくて、都市という場に根ざした生のあり方だったと教えられる。久しぶりに散歩に出て、隠れられそうな場所でも探してみようか、なんて思った一冊。2016/02/01

iwasabi47

3
これ以前荷風にハマっていて、たまたまこの本を古本市で見つけた。荷風と同時代人の乱歩と関連づけて読む。最初の章にある大正~昭和初期年間の東京と全国の人口増加率の表を見た。大正6年の東京増加率14.5%、同年全国0.7%(大正1~5年東京増加率平均1%前後 全国1.4%前後)。ああここだと、この本そして松山巖のこの系列の仕事を読み始めた。2022/10/08

nobu

3
乱歩作品を手がかりに、1920年代の東京をあつかう都市論。都市文化、家制度、写真、性、娯楽など多岐にわたるテーマを拾い上げている。著者のバックボーンである建築とのつながり方もおもしろい。2019/08/12

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