出版社内容情報
保育園にも幼稚園にも通えない「無園児」の家庭に潜む闇を、丹念な研究と取材で明らかにした問題作。NPO法人フローレンス代表、駒崎弘樹氏との対談も収録。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
57
著者は北里大学医学部公衆衛生学講師で公認心理師の可知悠子先生。3歳から5歳で幼稚園にも保育園にも通っていない児童は地域社会ともつながれないことから「無園児」と呼ばれており、全国で95000人もいるという。「無園児」の家庭では虐待、貧困、発達障害などの問題が潜んでいることも多く、著者による全国調査や当事者への取材を紹介し私たちに何ができるのかを解説・提案した一冊。巻末にはNPO法人フローレンス代表の駒崎弘樹さんとの対談も掲載しており、幼児教育「義務化」がなぜ必要なのか述べられています。2024/02/05
ねこけし
14
無園児について、とてもわかりやすくかつ中立的な視点で説得力のあるデータを用いて解説されています。日本の幼児教育、保育サービスの問題が詳細に記載され、今後の子育て支援の在り方について考えさせられました。保育園に入るためのハードルの高さ、そのハードルを越えられない家庭の状況や子どもの障がいについてもよくわかりました。日本は子育てや福祉のサービスの充実については、後手後手にまわっていて対策の遅れを切実に感じます。どんな家庭でも障がいがあっても、子どもたちが健やかに育つことができる社会、未来を目指したい。2020/10/25
ネギっ子gen
7
保育園や幼稚園に通えていない子どもたちのことを「無園児」と呼ぶ。その無園児の実態と就園の障壁について、全国4万人(国の統計では、9.5万人となっているが、公的統計調査の対象となっていない「認可外保育施設」や「幼稚園類似施設」に通う子どもが無園児にカウントされていることを留意しての数字)を対象にした研究の成果と、無園児の家庭や支援団体への取材を紹介。『37.5℃の涙』にも登場する、病児保育のNPO法人フローレンス代表・駒崎弘樹氏との対談も収録。この本の出版は、無園児の名付け親・駒崎氏に勧められたものとか。⇒2020/07/09
コピスス
6
お気に入りの方が読んだ本。外国人の子、医療的ケアの必要な子、発達障害の子の保育、さらには就労を必要としない「一時預り事業」までやるべき?ただでさえ、保育士不足と言われてるのに、誰がどのように保育すると思ってるんだろう。保育園や幼稚園が虐待を防ぐセーフティネットの役割をすることに期待して、幼児教育の義務化について書いているのだろうけど、そのためには園で働く職員の働く条件(特に給与)を上げていかないと、できるわけないよね。2024/02/27
Schuhschnabel
6
とある講義の参考文献として読む。一本の疫学論文を前提知識をもたない人に説明するだけでもそこそこの分量になるということを知った。「保活」と呼ばれるような情報戦が、アイドルグループのコンサートならいざ知らず、保育という公共サービスで繰り広げられているのはおかしいと思っていたが、一方でその競争の参加資格すら得られていない人たちがその外側にいるということを改めて認識した。自治体は今後、割り当ての実務は人工知能に任せて、公平な保育の割り当てとはどのような形かを考える方にリソースを割いていくのが望ましいと考える。2022/11/29