内容説明
もっとも親しみ深く、なつかしい古典―百人一首。王朝和歌の精髄ともいうべき珠玉の名歌の彫琢された心とことばを、第一人者が鮮かに読み解く。現代語訳・鑑賞・作者紹介・さらに適切な語句・技法解説が、見開き2ページにコンパクトに収められ、一読、ことばは作者の心の文脈に添って生き生きとよみがえる。巻末に、百人一首の世界へわけいるためのキーワード集「百人一首要語ノート」を付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほうすう
12
百人一首に関する本をいくつか併読しながら読んだが、この本の特徴としては文法・技法に関する説明が充実していたということ。また作者の略歴に関してもすっきりと簡素だがうまくまとまっていたと思う。2022/05/31
sou
2
口語訳や語句の意味だけでなく、当時の人々の価値観や注目すべき表現技法が丁寧にコンパクトに解説されていて読みやすかったです。2018/09/15
Shosei
1
百人一首の正統的な入門書です。巻末の「表現技法について」が役立ちました。ほぼ年代順に並ぶ一首から百首の流れの中で表現技法も変遷している。なるほど。確かに最初の方の歌は漢文調で格調高いが堅苦しく、終わりになると前の方になかった自由な仮名調の表現が見られる気がします。また、自分は百人一首のことをずっと、定家が命を受けて編纂した勅撰和歌集のようなものと勝手に思っていましたが、実は定家の親類の山荘の襖に貼る色紙として選んだのだとか。襖の「絵柄=書字」がやがてかるた遊びとなり、現代まで伝わっているなんて痛快ですね。2020/10/22
okadaisuk8
1
1句ずつ見開き2ページで意味や文法、筆者などを簡素に解説してくれる。古い順に並ぶので、風景や心情を素朴に歌った万葉集っぽい句から、歌合で披露された技巧的な句、最後は遠のいた貴族全盛時代を忍ぶ歌まで、作風のおおまかな変化を感じながら句を味わうことができる。「大江山 生野の道の 遠ければ まだふみもみず 天の橋立」を詠んだ時の小式部内侍のエピソード(若かったので、母・和泉式部が代作してきたんじゃないかと嫌みを言ってきたおっさんを、この句を即興で詠み撃退)が本当なら格好良すぎる。 2015/11/13
salieri
0
百人一首の解説本です。仮名遣いや用法、口語訳も載っていて非常に解りやすく楽しめます。初期の採録違いの歌などに言及のある巻末の簡易な資料も興味深いです。和歌、短歌を楽しむ入門用として百人一首を理解するのに最適ではないかと。2014/03/10
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- 和書
- 概説古文書学 〈近世編〉