感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miunac
2
志賀直哉は根本の資質において小説家ではない、作中人物を支配すると同じ情熱で読者を支配する、お坊ちゃん気質、極度に主我的、幼稚すぎ、普遍性の乏しい、観念や思想を扱う素質が欠けている、絶望がいわば偽物である、思いやりのなさ、もっともらしい顔付き、他愛ない独断、作者と主人公とを同一視する読者に凭れかかって書くのは作者の側から云えば自己の名士意識をなんの疑惑もなく作品の土台とする、等。適当に拾ったが、このような罵言が丁寧で端正な文章によって実証的に語られる。その迫力は、まるで冒険小説でも読んでるかと思うほど。2021/03/20