内容説明
悪魔の誕生から現代のホラー映画まで、西欧人の心の闇にとりついた強迫観念がもたらしたものは何か。悪魔の発明と西欧文明のダイナミズムの関係を明らかにした野心的な西洋文化史。
目次
序章 悪魔との一千年
第1章 サタンの登場(十二‐十五世紀)
第2章 サバトの夜
第3章 肉体の悪魔
第4章 サタンの文学と悲劇の文化(一五五〇年‐一六五〇年)
第5章 黄昏の悪魔―古典主義からロマン派へ
第6章 内なるデーモン(十九‐二十世紀)
第7章 快楽あるいは恐怖―二十世紀末のデーモン
結論 デーモンとのダンス
著者等紹介
平野隆文[ヒラノタカフミ]
1961年生まれ。東京大学大学院博士課程修了。青山学院大学助教授。専門、フランス・ルネサンス文学・思想
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感想・レビュー
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マウリツィウス
19
【『宗教改革の残影』】古典主義におけるバロック的天使像が改変されることで悪魔像はむしろ否定刷新された。福音書に記される《悪魔》とは秩序性質を損なう概念と呼称可能だ。そして旧約聖書期における偶像崇拝を消滅させた天使論とはアクィナス系譜にあるもミルトンはそれを《宗教改革起源》と解釈する。プロテスタント叙事詩意味は新約正典論批判を兼ねていた側面を含めると古典/神話の二軸領域内を自在闊歩した《悪夢》が悪魔と定義出来る。《魔女狩り》とは汎神論と唯一論が合流反発することで生じた現象とも呼べ、ヨハネ福音が危惧した時代。2013/07/06
kenitirokikuti
8
図書館にて。本命は続編の『オルガスムスの歴史』(原題直訳は「オルガスムスと西洋 16世紀から我々の時代までの快楽(pleasure)の物語」)なので、半分くらいしか読めず▲自分らは河出文庫の澁澤龍彦コレクション(『黒魔術の手帖』とか)の世代なので、欧州魔女の歴史はひととおり把握していたつもりだったのだけど、例えば15世紀のデューラーの魔女の絵みたく、全裸の魔女像というのは何なのか、ってことには疑問を持ってなかった。ファウスト博士とかは全裸じゃないでしょ? 悪魔も魔女も、実在しなかった、という意味では架空2022/06/19
takao
1
ふむ2022/04/22
彬
0
西洋における悪魔がどのように現在に至っているのか、宗教的な事柄だけど文化面からもアプローチしており、なおかつ知識人だけでなく庶民層のフォローも精力的にしているのが魅力的。キリスト教における天使も悪魔も、掴みがたいのは仕方がないものなのかも、と思ったり。2010/04/03