内容説明
日本語の「が」は主格の表示とすべきではない。「が」という形式に載る論理が何かを、日本語の中から帰納すべきであるのに、それを西欧から主格(主語)という概念を取り入れ、「が」にあてはめたことが、日本語を考える時の間違いの基になっている。―日本語独自の発想を日本語の内心に分け入って考察した珠玉の論考集。
目次
第1章 日本語の論理
第2章 事実と表現の関係
第3章 主語をどう考えるか
第4章 「が」「は」の論理
第5章 「ある」と「いる」の違い
第6章 再論・助動詞「つ」―『源氏物語』をどう読むか
第7章 問いかけと答え
著者等紹介
山口明穂[ヤマグチアキホ]
1935年横浜市生まれ。東京大学文学部国文学科卒業。愛知教育大学専任講師・助教授、白百合女子大学助教授・教授、東京大学助教授・教授を経て、現在、中央大学文学部教授・東京大学名誉教授
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感想・レビュー
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mimm
1
本来の日本語に西洋の要素が加わってきているんじゃ、もう変化は当たり前だし、更に変化していくしかないだろうなぁと思いつつ、比較の近代・古典を読んで…。もう関係なく変化してるじゃないとか思うのだけど(ただ他人本位か自分本位かは変わってないけど。これから変わってしまいそうな気がするのはちょっと寂しい)そもそも正しい日本語の基準って何?!頭ごんがらがせながら、頑張って読んだ一冊でした。関連本も読みたいよ。2013/05/13
seek
0
日本語の論理に関する内容は前半部分なのだが非常に面白い。センテンスに対する日本語の情報量は他の言語に比べて少ないのだが、それが日本語の柔軟性と創造性という特性になる。極限まで言葉を削った俳句は、他者の想像力を前提とした芸術だ。能にも通じるかもしれない。名詞構文か動詞構文かという違いが抽象思考に影響を与え、戯曲を扱わない国語教育が対立的コミュニケーションの苦手さに繋がっているという。 人は言語によって思考する。日本語の特性はそのまま思考の癖になる。そんな風に自分の考え方をメタ認知できる良著である。2018/09/16