内容説明
ダイヤモンドの美しさを説明するには、ブリリアント・カットのような研磨技法を光学的に説明したり、化学的に結晶の物性を説明する方法がよく知られているが、本書では、数学者である著者が、ダイヤモンドの原子配列がもつ数理的美しさに着目し、数理的な観点からの解説を試みている。すなわち、図形が美しくみえる背景にある数学上のキーワード“周期性”“対称性”“最小原理”“不規則性”の4つを軸に、一般の結晶格子の理論を展開している。高校までに学ぶ数学を出発点として、現代数学の高みに登りながら、幾何学・グラフ理論・群論・確率論が、ダイナミックに交差するさまを見る。ダイヤモンドはなぜ美しいのか、を追いかけているうちに、次第に高度な数学の世界に誘われ、数学自身の美しさを鑑賞する喜びが生まれてくる。数学に興味のある高校生から大人、研究者まで、幅広い層に薦められる好著である。
目次
第1章 周期性
第2章 対称性
第3章 最小原理
第4章 格子の数理
第5章 ランダム・ウォーク
第6章 遠くから見た結晶格子
著者等紹介
砂田利一[スナダトシカズ]
1972年、東京工業大学理学部数学科卒業。1974年、東京大学大学院理学系研究科数学専攻修士課程修了、名古屋大学理学部助手。1977年、理学博士(東京大学)。1988年、日本数学会彌永賞受賞。名古屋大学、東京大学、東北大学にて教授を歴任、現在は明治大学理工学部数学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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