ジュリアン・グリーン全集<br> アドリエンヌ・ムジュラ

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ジュリアン・グリーン全集
アドリエンヌ・ムジュラ

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  • サイズ B6判/ページ数 321p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784409110614
  • NDC分類 958

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

83
皆川博子さんの『辺境図書館』での紹介と読友さん達の絶賛の声がなかったらジュリアン・グリーンという作家を知る事ができなかったでしょう。自意識をこじらせたり、虐げられている人物を描く場合、それでも愛すべき点や変化を一つは入れて読者から共感と親近感、好感を引き出す物が多い。でもこの作品の主人公、アドリエンヌは最後まで、気まぐれな高慢ちきで馬鹿、内向的な自己中心性、苛々する程、ねんねなままだ。それでも、嫌悪感が湧いてしまう彼女の行く末を見守らずにはいられない。それは日常の陥穽を伝える筆致の素晴らしさがあるからだ。2018/02/07

syaori

35
頑迷な父と病弱な姉との、習慣が支配する生活にあるのは孤独と倦怠と不安。恐らくその日々が生んだ唐突で一方的な恋を父と姉に咎められ、そこからだんだんと、自身の内向的で頑なな性格のせいもあって、知らず悪いほうへ向かって追い詰められ、精神の均衡を崩していくアドリエンヌの意識の流れをただじっと見つめていました。一体、どうしたらアドリエンヌを救えたのでしょうか。彼の家には「心配もなにもない静かな生活が、日々新たにされるおだやかな喜びにみたされ」た生活があると夢想していた彼女。そんな場所は地上には存在しないのに。2017/04/28

びっぐすとん

20
【挫折本】図書館本。皆川博子さんがお薦めしていたので借りてみたが、受け取ってガックリ。字が小さくて細くて薄い!!必殺老眼殺し本だった・・・しかも長い。ニュースでもコロナによるリモート、スマホ時間の延長で視力の悪くなる人続出と言っていたが、仕事もPC作業で目が疲れて仕方ないので、これは読めない、絶対視力が下がる。血圧が上がる。凄く気になる内容なんだけどなー。他の出版社からは出てないみたいだし、今回は挫折。返却日までに少しはパラパラと読めるといいが。老眼を治せる薬か道具はないかな?ドラえも~ん。2021/01/25

きりぱい

8
一目惚れ相手を垣間見るための密かな振る舞いを姉に見とがめられ、父親から自由を奪われるアドリエンヌ。いやらしく見張る姉、閉じ込める父親と、全く息苦しい家族。かといってアドリエンヌも同情を誘うタイプではなく。中盤の変化で好転するのかと思ったら、内向的なせいで心も評判も悪化へとひた走る。割と面白いのに何だかもう滅入る。モーリアックが、若い小説家の天才はラディゲ以外にいないと思っていたら、25歳にして自分以外の人間を創造したジュリアン・グリーンがいる、とこれを評したそうで。はあ、そういうもんですか・・。2012/08/07

rinakko

7
息苦しくも圧倒された。18歳の娘の心象が、廃墟へと成り果てる。その意識の流れを追う筆致に、絡め捕られた。頑迷過ぎて異様な父親と病の姉との、変化のない牢獄のような生活。ただ最初に目に付いた誰かのことを、勝手に救いの手の持ち主と思い込んでしまったような…唐突な恋。内向的な少女が嫌いではない私でも、アドリエンヌの歪な思惟には寄り添えない。にも関わらず、この娘はどうなってしまうのか…と、目が離せなかった。鍵をかけられた鉄格子の門は、現実の庭よりも、アドリエンヌの心をこそ閉ざし、荒れさせ、言葉を封じてしまったのだ。2013/10/10

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