内容説明
風間健介は急逝した父の遺志を継ぎ、広告カメラマンから山岳写真家へと転身した。父の愛した厳冬の大雪山で撮影中、風間は絶滅したはずのオオカミを探す田沢保と出会う。十数年前、遭難の危機をオオカミに救われたという。さらに、彼が亡き父を尊敬していたこと、そして、大規模リゾート開発に絡んだ殺人犯だということを知る。風間は田沢と行動をともにするうちに彼の冤罪を信じた…。
著者等紹介
笹本稜平[ササモトリョウヘイ]
1951年、千葉県生まれ。立教大学卒。出版社勤務を経て、2001年『時の渚』で第18回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『太平洋の薔薇』で第6回大藪春彦賞を受賞。ミステリーや冒険謀略小説をはじめ、警察小説、山岳小説の名手として絶大な人気を誇る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BlueBerry
72
この本は山登り+過去の冤罪事件+エゾオオカミという三つの要素で勝負しています。程ほどには面白いのですがサプライズとか「キラリ」と光る物は無かったように思います。中盤はやや冗長。ストーリー自体も割と単純に流れていくので比較的に流し読み多めでも大丈夫みたいだった(笑。序盤○中盤△ラスト○総合○2014/11/14
すこにゃん
67
エゾオオカミに絡んだお話。さらりと読了。著者がオオカミに寄せるイメージが柴田哲孝の「WOLF」とは180度違います。集団で獲物を狩り人間も冷酷に襲う残虐なイメージがあったので、訓練された救助犬のようなオオカミには違和感ありまくりでした。本土にも北海道にもオオカミはもういないのでしょうね。2015/06/19
ゆみねこ
62
北海道の大雪山系に絶滅したと思しきエゾオオカミが生息している?父の遺志を継ぎ山岳写真家となった風間は、撮影中の山中で風変わりな男田沢と知り合いになる。10年前に田沢が犯したと言う殺人事件、リゾート開発、オオカミの謎。「奈落の上の綱渡り」、なるほど。本格的な山岳小説、ガッツリと読み応えがありました。大満足。2016/01/17
Yuna Ioki☆
60
814-17-17 笹本稜平作品初読み。昨今の山岳小説に「自然なんてこんな甘いもんじゃないよな」と思っていたのですが、やっと納得できる作品に巡り合った感じかなあ。狼が助けてくれた云々は出来すぎだとは思うけどね(¯―¯٥)2015/01/17
キムチ27
46
主人公の山岳カメラマン、風間。亡き父が繋ぐ見えない糸に引かれて裏大雪からニペソツの山中に幻のエゾオオカミを見る。その幻影の中で知り合った男、田沢。10年前の殺人事件の秘密を絡めて「男たちが刻む分水嶺」を読ませて戴いた。ストーリー的には何かで読んだ事もあったような感じ。熊谷氏や大藪モノと似ていなくもないが。いつもの笹本節も炸裂・・流れるようなボギャブラリーのメロディーは多少はしょって読んだけど、装丁にあるような情景がリアル感たっぷりに展開する。この時期読むには相応しい内容だったせいもあるが、楽しめた。2015/02/01