春陽文庫<br> 月と手袋

春陽文庫
月と手袋

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  • サイズ 文庫判/ページ数 217p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784394301080
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

シナリオ・ライター北村克彦は高利貸し股野重郎の妻あけみと通じ、股野を絞殺した。夜空には化けもののような巨大な赤い月がでていた。まるで凶事の前兆のように…。克彦とあけみは股野殺しを巧みなトリックでのがれようと図り、すべては順調にいったかと思われたが、その奸計のまえに立ちはだかったのは警視庁捜査一課の花田警部であった。そして、花田の背後にいた名探偵こそ、ご存じわれらの明智小五郎。江戸川乱歩が昭和30年に発表した数少ない戦後作品の佳作「月と手袋」をはじめ、その独自なる妖美の世界をくりひろげる傑作中編「地獄風景」などを収めた乱歩傑作集!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

めしいらず

55
再読。表題作は失敗作が多いとされる戦後作品の中にあって、手堅く纏まった倒叙ミステリの佳編だ。強烈なインパクトこそ少ないが、小道具の扱いに乱歩らしい美学があるし、犯人に罠を掛けるやり方が後の刑事コロンボ的手法を思わせて面白い。ちょっと狡いと思わぬでもないけれど。しかし何と言っても本書最大の魅力は中編「地獄風景」にあるだろう。ストーリー展開や語り口にやや大味なきらいがあるのはご愛嬌。終盤、タイトル通りに鮮血迸る阿鼻叫喚の地獄風景は、乱歩の残虐嗜好と稚気とが絶妙に交じり合って、読み手を慄然とさせずにはおかない。2019/02/04

シ也

41
アニメの原案になった「地獄風景」が特に気に入った。遊園地自体はパノラマ島だけど、今回は殺戮をメインに作ったと言うのがすさまじい。この絵画のような世界を覗いてみたい。「モノグラム」は妻の秘密が明かされ、やるせない気分になる。「日記帳」はどことない苦味が読後に残る。表題作の「月と手袋」はあまりパッとしない作品だった。でも赤い月... なんとも魅力的なアイテムである2016/02/10

いりあ

25
春陽堂から大正時代に刊行された江戸川乱歩中短編集を文庫で復刊したものです。本短編集には、"月と手袋(1955)""地獄風景(1931)""モノグラム(1926)""日記帳(1925)"の4篇を収録。明智小五郎が活躍する作品、乱歩の悪趣味が全開の作品、そして、乱歩作品としては一風変わったテイストでオチが秀逸な作品と収録作が少ないながら、なかなか良いです。今は深夜でも明かりが消えることがないので"月と手袋"みたいな作品は生み出されないだろうなと思いました。ここに収録されている作品で好きなのは"日記帳"。2015/11/28

波璃子

20
江戸川乱歩の作品では推理小説も良いけど幻想的な毒々しさを持った作品が結構好きだったりする。この作品でも狂気に満ちた遊園地が舞台の「地獄風景」がお気に入り。最後の破滅的なシーンが頭に蘇る。ちょっと行って見てみたい気分になります、生きて帰っては来れそうにないけれど。2015/05/25

鏡子

20
「地獄風景」が...よかった、というには悪趣味の極みかもしれない。読んでいてあまりの残酷表現に、こんな表現を喜んで読んだりしていては、何か罰でも当たってしまうんではなかろうかと思い詰める程でありました。しかし、ジンタの音鳴り響く幻想狂気の楽園、悪魔の船頭、巨大迷路など、昭和初期という時代を想像しながら読むと尚更楽しめたように思う。大量虐殺。文章でこれ程えげつないのだから、映像にするとしたらと思うと恐ろしいです。2014/02/02

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