出版社内容情報
自殺なんかじゃない。あの子を殺したのはわたしなんだよ。学校生活だけがすべてだったあの頃の青さと硬さが、痛い。気鋭の作家が描く「女の子同士の友情」。転校生の里香は、クラスで浮いていた彩名と仲良くなるが、徐々に彼女の束縛がエスカレートする。彩名の親友が事故死したことを知った里香が死の真相を探るうち、「あの子を殺したのはわたしなんだ」と彩名に告白される。それを境に、持ち物がなくなったり、机に花瓶が置かれたり、不穏な出来事が里香に続く。「あの子の時と同じだ」と噂するクラスメイトたち。なぜ彩名は里香を追い詰めるのだろうか――。
内容説明
転校生の里香は、クラスで浮いていた彩名と仲良くなるが、徐々に彼女の束縛がエスカレートする。彩名の親友が事故死したことを知った里香が死の詳細を探るうち、「あの子を殺したのはわたしなんだ」と彩名に告白される。それを境に、里香の持ち物がなくなったり、机に花瓶が置かれたり、不穏な出来事が続く。「あの子の時と同じだ」と噂するクラスメイト達。なぜ彩名は里香を追い詰めるのだろうか―。
著者等紹介
真下みこと[マシタミコト]
1997年生まれ。早稲田大学大学院修了。2019年『#柚莉愛とかくれんぼ』で第61回メフィスト賞を受賞。2020年同作でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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itica
81
中2で転校してきた里香。クラスカースト、グループ分けを把握するのは大事だ。何とか親しい友達もできた。しかし私は、ある女子が気持ち悪くて仕方なかった。親や教師にも怒りを覚えたし、イラつきもした。精神的にかなり疲れる。現役の学生さんたちはこれを読んでどう思うのだろう。共感する登場人物はいるのだろうか。 2023/04/16
えみ
76
何気ない日常の「結ぶ」という行為。当たり前に毎日結ぶ制服のリボン。そこに何よりも深い意味を持っている一人の少女がいた。家庭という閉ざされた迷宮と、学校という狭い王国の中で生きる彼女たちの罪とはなんだ。学生時代の独特の友人関係、笑っていても孤独を感じ、平然と悪気もなく歪む。一人は嫌だが一人に安らぐ矛盾だらけの日常に上手く溶け込めなかった彼女の罪。友情とは何なのだろう。対等であり続けるはずの友人関係は結ぶことで強く繋がり、ある日解ける。再び結んでもそれは決して同じ結び目ではない。何故?本人が一番困惑している。2023/05/10
ででんでん
71
真下さんらしい怖さだった。親子関係は、友達関係や、いろんな人間関係にこんなにも影響するものなのかと愕然とする。初めて結ぶ、人との関係となるのだから当然かもしれないけれど。人は一生、自分を受け入れてもらっているという確信を得たくて生きているのかもしれないな。2023/05/27
茜
70
クラスのみんなから無視されるのがどういうことなのか、きっとあなたにはわからない。プロローグの一行目から私はグイッと物語に引き込まれてしまった。何だかんだと真下みこと氏の小説はこの本で三冊目になる。簡単に言えば今回は中学生女子の友情に焦点をあてた作品だ。とは言うものの、中身はそんなに単純なものではないのが、真下みこと氏。人を信じ続けるというのは思う程簡単なことではない。それでも里香は彩名を信じ続けた。読んでいる最中はずっと彩名ヤベーと思っていたけれど、ラストは心地よい気持ちになれました。2023/07/17
tenori
64
せつないなぁ。誰もが上手に友達を作れるわけじゃない。『私たち、親友だよね』たくさんの友達はいらない。たった一人の親友がいれば。その純粋すぎる想いが生んでしまった歪な偏愛と独占欲。起きてしまった残酷すぎる結末。その本当の理由を秘めて自分を責めながら、でも同じようなことを繰り返してしまう少女の葛藤。誰かを信じることはリスクがあるけれど、『私は信じているから』と言ってもらえることが一歩踏み出せる勇気になる。女子中学生のアンバランスな心象を描いた作品。2023/08/09