内容説明
3月11日、宮城県沖を震源地とする巨大地震が発生し、東北地方は壊滅的な打撃を受けた。毎朝新聞社会部記者の大嶽圭介は志願し現地取材に向かう。阪神・淡路大震災の際の“失敗”を克服するため、どうしても被災地に行きたかったのだ。被災地に入った大嶽を待っていたのは、ベテラン記者もが言葉を失うほどの惨状と、取材中に被災し行方不明になった新人記者の松本真希子を捜索してほしいという特命だった。過酷な取材を敢行しながら松本を捜す大嶽は、津波で亡くなった地元で尊敬を集める僧侶の素性が、13年前に放火殺人で指名手配を受けている凶悪犯だと知る…。最大の挑戦にして、最高到達点。心を撃ち抜く衝撃の社会派ミステリ誕生。
著者等紹介
真山仁[マヤマジン]
1962年大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収をめぐる熱き人間ドラマ『ハゲタカ』でデビュー。07年に『ハゲタカ』『ハゲタカ2(『バイアウト』改題)』を原作とするNHK土曜ドラマ「ハゲタカ」が放映され、大きな反響を呼ぶ。同ドラマは国内外で多数の賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Yunemo
108
すみません。何だか欲求不満のまま読了というのが本音。細部に亘る3.11以後の現地状況、著者の取材力で、この分野においての作品が身に沁みてきたのですが。何故なんでしょう、思惑と作品の間の乖離があり過ぎた?生み出すタイミングがあまりに急ぎ過ぎた?前半部と後半部とが別々の作品のような気がしてなりません。状況のディテールの描き出し方に心打たれ、でも登場人物の心情が染み渡って来ない苛立たしさ、いつもの著者作品じゃない、こんな感情がくすぶったまま最後まで!自身の想い入れが強すぎますかね?2015/02/21
それいゆ
98
震災のノンフィクションを読んでいるかのような感覚でした。読むのが辛くて、じっくりと一字一句噛みしめながら読もうという気にはなれませんでした。事件や事故の取材で、家族の心情など無視してカメラやマイクを向ける無神経な記者にいつも腹が立っています。この作品の中にも、そのへんの葛藤場面がでてきますが、そんなのは報道の使命ではないと思います。震災の取材中に、過去の殺人事件の真相が明らかになるという設定ですが、なぜ震災を舞台にするのか?腑に落ちない気がします。2015/03/10
starbro
97
東日本大震災に関しては、数多の作家が何等かの形で文章にしていますが、真山仁は震災を真正面から捉え、上手くフィクションとして消化しています。各章の冒頭の新聞記事の創作も良い味で仕上がっています。震災発生後から数日間の話なのでボリューム的にもちょうど良く、一気読みでした。震災のお涙頂戴物ではありませんが、タイトル同様泣かされてしまいました。最近涙腺が脆いかな?2015/03/04
モルク
81
東北の大震災の取材に訪れた新聞記者大嶽。震災現場の過酷さ、辛辣さとともに心情に流されずその真実、ありのままを伝えるという大嶽の姿に記者魂を感じる。そして津波の犠牲者で人徳者の住職と過去の殺人事件が結び付いていく。女性記者の正義をふりかざして突っ走っていく姿には共感できないというより不快であった。無理にミステリーは要らなかったかな。報道の問題、特に被災地とか被害者とその家族に対することに関する問題提起だけでも充分読みごたえあるものとなっていたと思う。2017/10/29
ゆみねこ
74
阪神淡路の震災を経験した新聞記者大嶽は、東日本大震災直後に三陸市に派遣される。後輩の女性記者松本を救い、犠牲になったとある寺の住職心赦の正体を巡るミステリーであり、主人公大嶽の新聞記者としての矜持を描いた1作。読み応えあり。ただ、ラストはあっけなくモヤモヤも。。2016/02/11