内容説明
あるきっかけで、同級生のエミールが気になって仕方がないユッキー。彼女の気を惹きたいのと、ひとりでは手に余るのとで、おそるおそる、声をかけた。「ダイイングメッセージって判る?相談に乗ってもらえないかなあ、と思って」ふたりは、失われた事件の道筋を辿りなおして、真相に到達することができるのか?事件は20世紀に起こった。時を経て、21世紀の彼女たちが驚くべき真相に辿りつく。記憶違いと忘却で、こんがらがった謎をほぐす、追憶と慕情の本格ミステリー。
著者等紹介
西澤保彦[ニシザワヤスヒコ]
1960年、高知生まれ。米国私立エカード大学創作法専修卒。1995年、『解体諸因』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
🐾Yoko Omoto🐾
139
エミールとユッキーの高校生コンビが、大人たちの過去に纏わる謎を紐解くシリーズ2作目。前作とリンクネタが多々あり時系列も入り混じるが、どちらからでも楽しめる親切な構成。マイベストは、偶発的な出来事と人間の心理を破綻無くロジカルに仕上げ、その動機に四作中最も西澤氏らしさを感じた「アリバイのワイン」。物騒な殺人ネタが続く中で、思い出をテーマに前作の表題作と対を成す「夢の迷い路」。世の中偶然というものは五万と転がっているのだと言わんばかりに、アンフェアを感じさせずにロジックと偶然を描ける稀有な作家だと畏れ入る。2019/06/16
ダイ@2019.11.2~一時休止
91
エミール&ユッキーその2。連作短編集。西澤さんらしく時系列は前作含めてバラバラです。埋没のシナリオが一番良かった。2019/04/24
aquamarine
91
日常の謎や過去の疑問を、論理的に推論を積み重ねて謎解きをする高校生、ユッキーとエミール。辿り着く真相は苦いものも多いのですが、登場人物皆が愛しくて、素敵なシリーズです。前作を読んでいなくてもミステリとして十分楽しめますが、かなり話がリンクしていますし時系列も前後しているので、続けて楽しむ方がいいかと思います。ラストのエミールのおばあちゃま視点の話がとても好き。本にしても食べ物にしても、それから導き出される思い出っていいですね。私も年をとったとき懐かしめるように、たくさんの経験をしておきたいと思いました。2019/04/21
buchipanda3
74
エミール&ユッキー2作目の本格ミステリ短編集。二人の会話はゆる~い感じでとぼけた作風が楽しい。それでいて事件は複雑に入り組んでパズルを解くような快感があった。本好きのエミールとB級映画好きのユッキーの高校生コンビが事件をロジカルに紐解いていく。キャラの印象がやや薄いのでもっと特徴があるとさらに良くなるのでは。「ライフ~」読み手を煙に巻くようなごちゃついた人間関係を見せる中、真相の手掛かりが意外な所に。「埋没の~」単純そうで違和感ありまくりな事件。浮かび上がる複雑な相関と因縁に驚き。長く続けて欲しい。2019/04/08
さっこ
51
シリーズ物だと知らずに読了。前作を読んでいなくても楽しめました。主人公の渓くんが可愛いです。過去の謎や事件などを論理的に解いていくのですが、別に犯人逮捕とかそんなんでもなくて、解いていく過程が楽しいです。懐かしい映画や本が出てきて観たくなったり読みたくなったりしました。2019/04/22