光文社文庫
異端の徒弟―修道士カドフェル〈16〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 396p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784334761547
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

聖ウィニフレッド移送祭を三日後に控えた修道院の広場に巡礼先で亡くなった羊毛商の柩を徒弟が運んできた。甥たちのもとに連れ帰り、修道院の墓地に埋葬してもらうために…―ところが、大司教の使者は、故人の信仰を疑いこの願いを退ける。難航のすえ、修士会の席で疑いは晴らされるが、奸計により徒弟が異端者として告発されてしまう。しかも、告発した張本人が死体で発見された。この謎に挑むカドフェル。

著者等紹介

ピーターズ,エリス[ピーターズ,エリス][Peters,Ellis]
1913年9月28日、英国シュロップシャー州ホースヘイに3人兄弟の末っ子として生まれる。祖母はウェールズ人。幼少期、地方史に造詣が深い母と一緒に、ウェールズ国境近くの古城や旧跡を見に行ったことが、将来の作家生活に大きな影響をもたらした。’33年から’40年までの7年間は化学者の助手・薬剤師として働き、第2次世界大戦では海軍婦人部隊に従軍。’36年に歴史短編小説を発表して、作家デビューを飾る。以後25年間に20冊以上の歴史小説を本名のイーディス・パージターで刊行する。’59年からエリス・ピーターズ名義で推理小説を書き始める。’81年にイギリス推理作家協会のシルヴァー・ダガー賞、’94年には大英勲章O.B.E.を授与される。翌’95年10月14日死去、享年82であった

岡達子[オカタツコ]
北海道に生まれる。東京外国語大学英米科卒業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

109
今回は異端の問題を中心に据えてそれに事件を絡ませて、とよくまあこの著者はサービスをしてくれます。ただ宗教的な問題は日本人の読者には結構難しいと感じられます。カラマーゾフの大審問会までとは言いませんがかなりやり取りがあります。最後はやはりうまく決着をつけてくれます。いつもながらたのしめ2016/06/29

たち

25
キリスト教の教義はよくわかりませんが、物欲に惑わされる人間のなんと罪深く、そして愚かな事か…。真っ直ぐな眼差しの若い二人が、汚れきった私には眩しく見えました。2018/03/14

夜の女王

13
シリーズ⑯ 巡礼の旅の帰途で亡くなった地元商人の棺が修道御院に運び込まれる。折から滞在中の傲慢で狭量な司教は、故人の生前の思想を基に修道院の墓地への埋葬(非常に名誉なこと)に疑義を唱え院長と対立。さらに、共をした徒弟の異端問題にまで発展する。そして、殺人が!!今回はミステリーより、神学問答と教会組織のヒエラルキーが面白かった。修道院長の権限、司教の権限、修道士と神父の違い。修道士≠聖職者なんだね。異端審問と言うと悲惨なイメージしかないが、話の分かる院長とクリントン司教がいて良かった。2018/08/01

きりぱい

8
修道院がらみの話らしいというか、異端の内容に結構踏み込むところが面白い。キリスト教の教義には色々解せないところもあったりするけれど、洗礼を受けずに死んだ赤子のことだとか、聖アウグスティヌスの言葉への反論など、チラと漏れた話から全くあーあーと前途ある若者が異端審問に引っ張り出されてしまう。殺人よりも異端の問題の方が重大とする見方で、何がそうさせたのか束の間の客となった聖職者が陰険に思えて仕方がない。院長はいつもながら手際よく聡明だけれど、寛容に裁いた司教もよかった。それにしてもいち祈祷書の価値がすごい。2013/07/16

ネギっ子gen

6
連れ合いが『修道士カドフェル』シリーズ、全21巻読み切ってしまい、2作しか読めていない愚生が羨ましがったら、「じゃ、せめて『異端の徒弟』くらい読めば、あなたの好きなテーマよ」とのことで、読み始める。うん、確かに。惹きつけられる。冒頭早々に、主人公の聖アウグスティヌス批判の記述があり、これが今後の伏線かと。恋する青年の「生まれたばかりの赤ん坊が、あの無力な存在が、洗礼を受けられずに死んだというだけでの理由で地獄に落とされるのを見て、アーメンと言えるだろうか?」という疑問は、『カラ兄』のイワンの台詞を想起。⇒2020/04/07

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