内容説明
「しゅんというのはこわいもので、走りものに本当の味はない。」食通として知られた八代目坂東三津五郎は、季節を先取りして「旬の味覚」を口に運ぶことに異を立てる。芸と同様、けれんのない食へのこだわり。それは高級食材をふんだんに使った豪勢な料理ではなく、場所や時候にあった素材を、ていねいにあしらった一品にこそ顕れる。食の賢人が遺した名エッセイ集。
目次
食い放題(私の食歴;調理のタイミング;もったいない ほか)
しゅんの味覚(季節のもの;春・はまぐりと茶漬け;夏・豆腐としそ ほか)
手料理の味(母のために作る食事;年寄りの献立;伯母が伝えた味 ほか)
著者等紹介
坂東三津五郎[バンドウミツゴロウ]
1906年東京生まれ七代目三津五郎の養子。本名守田俊郎。俳名は喜好、是真。’13年1月市村座、「奴凧」で三代目八十助を名乗る。’28年6月明治座、「鞍馬源氏」の牛若丸で六代目蓑助を襲名。近代劇の創始者小山内薫の薫陶をうけ、’32年に劇団新劇場を設立。その後、東宝劇団を経て松竹に復帰し、関西で活躍する。東京に戻り、’62年9月歌舞伎座、「喜撰」などで八代目三津五郎襲名。敵役を得意とした。日本芸術院会員。人間国宝。’75年1月京都南座に出演中に急死。享年68(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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