内容説明
今も昔も、小学校の算数で「元にする量」と「比べられる量」を習う。そして、元にする量を1としたときの比べられる量が0.01のとき、その割合は1%と定められる。この「%」は全世界共通の言葉で、人口、使用言語、予算に占める各種対象、食品の成分、土地の用途別面積、時間配分などの割合や変化といった様々なものを測るときに用いられ、私たちが社会を営むうえで重要な指標である。だが、現在、日本では「『%』が分からない大学生」が増えている。そこには、日本の数学教育が抱える深刻な問題がある。長い間、現在の数学教育に危機感を抱いてきた著者が、これからの時代に必要な「学び」を問う。
目次
第1章 深刻な問題
第2章 見直し力をチェックする
第3章 数学マークシート式問題
第4章 数学は「心」が大切
第5章 算数・数学は皆が大切にしたい教科である
第6章 算数・数学は個人差に合わせた教育を!
著者等紹介
芳沢光雄[ヨシザワミツオ]
1953年東京都生まれ。東京理科大学理学部教授(理学研究科教授)などを経て、桜美林大学リベラルアーツ学群教授(同志社大学理工学部数理システム学科講師を兼務)。理学博士。専門は数学・数学教育。国家公務員採用1種試験専門委員(判断・数的推理分野)、日本数学会評議員、日本数学教育学会理事などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
72
マジかよ! とタイトル買いした本。私はここに出てくる「は・じ・き」と「く・も・わ」という省エネ解法は聞いたことがなかった。算数と数学は好きではなかったけれど、自分なりに理解できるまで突き詰めて考えていた。その忍耐力が今役立っているという実感がある。わからない問題をじっくり考えて解けたときの快感をぜひ知っていただきたい。数学って本当はこんなに面白いものなのだ。2019/04/15
トムトム
28
私は中二のある日、いきなり数学ができるようになりました。だれもが数学的な概念、考え方にいつかは気付くのだと思っていたら、大人になって社会に出てそうでもないのだと気付き愕然。ワイドショーやニュースを見ていても、数字の意味や分析の仕方がトンチンカンなものをよく見ます。誰もつっこまないということは、みんな気付かないのでしょう。そんな世の中では数学的な人間の方が生きづらい。2022/02/09
アドソ
22
言いたいことはわかるし、正しいことをおっしゃってると思う。算数・数学を暗記科目(どちらかというと技能科目か)にしてしまうナンセンスもわかる。ただ、著者の数学に対する愛情が熱すぎて、やっぱり数学って選ばれし人のためのものだ、って感じてしまう人いるんじゃないかな。%がわからない大学生は論外だけれども、それが「は・じ・き」「く・も・わ」教育の延長線上にあるというのはやや根拠希薄かな。入学試験でも入社試験でもくだらない問題しかださないから、くだらない教え方に最適化されていく、っていうのは同意。2019/09/20
那由田 忠
21
2億が50億の何 %とかという割合を間違える大学生が20 %いる。昨年の小6学力テストで似た問題正解が50 %。つまり、大人で割合が理解できていない人がかなりいると思われる。そこで、この本に算数教育の分析を期待した。しかし、そういうことはほとんどなかった。ダラダラと文句を述べたて、難しい数学の問題を次々と並べているだける。もっと簡単な問題ができないという根本的な欠陥を、数学教育気関係者が真剣に考察できていない、その問題点がこの本からわかったという無様な結果だった。ホント困ったもんだ。2019/09/05
JiRO
21
「は・じ・き」「く・も・わ」式数学、ドンピシャの世代です。 就職まで数学と関わりあったものの、教師からは「点を取れる学び」ばかり。 小学生の算数から苦手意識を持ち、高校生の時に1年間だけ、プロセスを大切に教える神のような先生に教えていただき数学に目覚めるも、先生が変わって以降は数学苦手に逆戻り。 本書を読んで考えると、今までの暗記型、マークシート方式の学習が苦手だったのかもしれないなぁ。 芳沢先生に出会えていたら人生が変わっていたかもしれない。 数学苦手の文系人間ですが、面白い読み物でした!2019/07/02