出版社内容情報
本書は日本の16世紀から18世紀における貨幣流通の実態を実証的に明らかにし、貨幣使用の変化とその要因を考察することを目的とする。
特に、16世紀後半における銭から米への変化、16世紀終わりから17世紀初めにおける米から銀への変化を明らかにするとともに、17世紀から18世紀における貨幣流通の諸問題、領国貨幣の問題と近世的貨幣体系の成立の問題および幕府の発行した金・銀貨の流通状況、金遣い経済圏・銀遣い経済圏の境界、成立時期および時期における変化をも明らかにする。
【目次】
序章 課題と研究史
第1章 十六世紀後半奈良における取引手段の変化―多聞院日記を中心として
1 商品取引における取引手段の変化
2 賃金・不動産取引・貸借における取引手段の変化
3 銭と米の使い分け
第2章 十六世紀後半京都における取引手段の変化
1 妙心寺文書にみる取引手段の変化
2 大徳寺文書の売券にみる取引手段の変化
3 米使用優位の時期における銭使用
4 冷泉町文書にみる取引手段の変化
第3章 十六世紀後半近江国菅浦における取引手段の変化
1 売券にみる取引手段の変化
2 貸借における取引手段の変化
第4章 十六世紀~十七世紀初期西日本各地における取引手段の変化
1 畿内における取引手段の変化
2 畿内周辺地域における取引手段の変化
3 中国・四国・九州・東北地方における取引手段の変化
4 銭・米・銀の使用
第5章 十六世紀後半における諸制度の変化
1 奈良における対応
2 銭納から米納への変化
3 布施における対応
第6章 十六世紀後半奈良における米価・金利と悪銭流通
1 奈良における米価の動向と悪銭流通
2 奈良と菅浦における金利の動向
第7章 取引手段の変化の原因
1 取引手段の変化と撰銭禁令
2 撰銭禁令と米の貨幣機能
3 1580年代における変化の原因
第8章 中世および中近世移行期における貨幣流通
第9章 十七世紀における米から銀への変化
1 各地における取引手段の変化
2 領国貨幣と幕府鋳造貨幣
3 甲斐国における取引手段の変化
第10章 十七世紀~十八世紀における金・銀の使用
1 金遣い経済圏・銀遣い経済圏の境界と成立時期
2 十七世紀~十八世紀における金・銀使用の使用の変化
終章 近世貨幣流通史における諸問題
参考文献
あとがき
事項索引
地名索引
人名索引
内容説明
本書では、領国貨幣・近世的貨幣体系の成立・金遣い経済権と銀遣い経済権の諸問題について、売券の集計によって、貨幣使用の視点から実証を試みる。
目次
課題と研究史
16世紀後半奈良における取引手段の変化―多聞院日記を中心として
16世紀後半京都における取引手段の変化
16世紀後半近江国菅浦における取引手段の変化
16世紀~17世紀初期西日本各地における取引手段の変化
16世紀後半における諸制度の変化
16世紀後半奈良における米価・金利と悪銭流通―多聞院日記を中心として
取引手段の変化の原因
中世および中近世移行期における貨幣流通
17世紀における米から銀への変化
17世紀~18世紀における金・銀の使用
近世貨幣流通史における諸問題
著者等紹介
浦長瀬隆[ウラナガセタカシ]
1950年神戸市生まれ。1974年神戸大学経済学部卒業。(株)第一勧業銀行勤務の後、1984年神戸大学大学院経済学研究科博士課程後期課程単位取得満期退学。1985年名古屋学院大学経済学部講師のち助教授、教授。1998年博士(経済学)神戸大学。1998年神戸大学経済学部教授。2000年神戸大学大学院経済学研究科教授
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