教育思想双書
知ることの力―心情主義の道徳教育を超えて

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  • サイズ B6判/ページ数 226p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784326298747
  • NDC分類 375.35
  • Cコード C3037

出版社内容情報

近年、「心の教育」が盛んにいわれる。が、これは「癒し」を必要とせざるをえない過酷な自由競争社会の陰画としての側面etc.を示している。本書は、「心」としての感情、意志、意欲、自覚などを偏重する道徳教育論に焦点をあて、「心の教育」を内在的に批判する試みである。
 認識(知っていること)と行為(行うこと)の対立や分裂を架橋するものとして「心」を位置づけ、その「心」を育くもうとする心情主義の道徳教育論は、今日のわが国の教育界を席捲し、人々の心性に深く根を下ろしている。この「心」という空虚な実体によりかかった教育実践の喜劇性=悲劇性を明らかにして、「知ることの力」による道徳教育論の新たな枠組みを構想する。

第1章 ロケットモデルをめぐる対立
Ⅰ ロケットが生み出す<心>?
Ⅱ ロケットモデル擁護の系譜
Ⅲ ロケットモデル批判の系譜

第2章 道徳原理を理解すること
Ⅰ 基本的な枠組み
Ⅱ 行為の結果に対する価値づけ
Ⅲ 深い理解

第3章 知ることと行うことの不一致はなぜ生じるのか
Ⅰ 未熟な理解
Ⅱ 理解の内部
Ⅲ 理解の外部

第4章 理解を深める教育
Ⅰ 知行不一致現象への対応法
Ⅱ 心情主義的道徳教育論の問題点

第5章 近代の再編
Ⅰ 啓蒙主義道徳
Ⅱ 近代認識論と伝達観・学習観
Ⅲ 深い理解を拒む社会
Ⅳ 理解の限界と制約

あとがき

内容説明

心や感情にはたらきかける道徳教育はどのような問題を抱えているのか?ポストモダン状況が疎んじてきた「知の力」を再生させ、知と行為を結びつける新たな道徳教育論を構想する。

目次

第1章 ロケットモデルをめぐる対立(ロケットが生み出す「心」?;ロケットモデル擁護の系譜;ロケットモデル批判の系譜)
第2章 道徳原理を理解すること(基本的な枠組み;行為の結果に対する価値づけ;深い理解)
第3章 知ることと行うことの不一致はなぜ生じるのか(未熟な理解;理解の内部;理解の外部)
第4章 理解を深める教育(知行不一致現象への対応法;心情主義的道徳教育論の問題点)
第5章 近代の再編(啓蒙主義道徳;近代認識論と伝達観・学習観;深い理解を拒む社会;理解の限界と制約)

著者等紹介

松下良平[マツシタリョウヘイ]
1959年鹿児島県生まれ。1987年京都大学大学院教育学研究科博士後期課程学修認定退学。現在、金沢大学教育学部助教授。博士(教育学)
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