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“お茶”はなぜ女のものになったか―茶道から見る戦後の家族

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  • サイズ B6判/ページ数 260p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784314009720
  • NDC分類 791.04
  • Cコード C0036

出版社内容情報

茶道をとおせば、戦後社会がこんなにもよく見えてくる!

各誌紙で紹介されています。
週刊朝日12/31号「茶道のお点前をフーコーの言う<鍛錬>から分析するなど、本書の学問的独創性は高く評価されるべきである。」(原武史明治学院大教授)、週刊文春1/27号「主観的、印象論的な文化批評が多い中で、本書は自らの体験と調査結果を踏まえた堅実な論考である」(張競明治大学教授)、高知、中国(1/23)、神戸新聞(1/30)他地方紙多数「本書の斬新さは、日本文化のシンボルともいえる<茶道>を、ジェンダーの視点を採り入れて文化人類学の手法で調べたことであろう」(篠塚英子お茶の水女子大教授)

★永江 朗さん(フリーライター)「私のおすすめ」(「i feel」出版部50周年記念号より)★
「 この本の素晴らしい点は、「お茶」のほうからではなく、「女」のほうから現代の茶道に迫ろうとしているところである。近代の茶道は、大正から昭和、そして戦後にかけて、数寄者の茶会中心から大衆の点前稽古中心へと転換した。私はその原因を敗戦による数寄者の消滅(と各流派の生き残り戦略)だと考えていた。しかし本書を読んで、その考えが浅いとわかった。標準的核家族および主婦の出現、あるいは女が置かれた状況の社会的変化を視野に入れなければ、この転換の全体は見えてこない。
 私も妻と一緒に茶の湯の稽古に通っている。師匠は許状についてうるさくいわない人だが、「ご主人はともかく、奥様は許状をとっておいたほうがいいかもしれませんね」という。そのときはなぜなのかわからなかったが、本書を読んで謎が解けた。師匠の一言には、女の戦後が詰まっている。どういう意味かって? それは読んでのお楽しみ。」


2005年掲載
文藝春秋3月号、静岡新聞、他(共同配信)、週刊文春1/27号、週刊朝日12/31号、婦人公論3/7号

彼女たちを魅了する、終わりなき「勉強」

<戦後日本をあざやかに読み解く>



第1章 <お茶>の構造
     ①<お茶>の中心としての点前
     ②鍛錬からパフォーマンスへ―<お茶>の三形態
     ③流派と「お許し」
     ④<お茶>のモチーフ ― 「季節感」「慶弔」「伝統的権威」

第2章 <お茶>の戦後―「総合文化」言説の誕生
     ①戦後の文化ナショナリズム
     ②「総合文化」言説の誕生
     ③デパートの「茶聖」
     ④<お茶>の女性化(1) ― 明治期から第二次大戦まで
     ⑤<お茶>の女性化(2) ― 「家族の戦後体制」と<お茶>

第3章 「社中」という名のネットワーク
     ①<お茶>と女性ネットワーク
     ②「社中」の成り立ち
     ③「総合文化」か「作法」か? ― 選択装置としての社中

第4章 戦後女性の人生と<お茶>
     ①妻・母と<お茶>
     ②独身女性と<お茶>
     ③男性と<お茶>
     ④若い女性と<お茶>
     ⑤夫婦のあり方に関するアンケート
     ⑥点前から「勉強」へ

内容説明

そもそもは男性の文化でありながら、現在は圧倒的に女性によって営まれている茶道。いったい何が彼女たちをそれほどまでに惹きつけるのか。「点前」「社中」「お許し」といった基本要素から説き起こし、茶道の「女性化」の経緯をたどりながら、専業主婦を大量に生み出した戦後の家族のあり方、ひいては女性たちの人生のあり様をあざやかに浮かび上がらせる、ユニークな視点からの戦後日本社会論。

目次

第1章 “お茶”の構造(“お茶”の中心としての点前;鍛錬からパフォーマンスへ―“お茶”の三形態 ほか)
第2章 “お茶”の戦後―「総合文化」言説の誕生(戦後の文化ナショナリズム;「総合文化」言説の誕生 ほか)
第3章 「社中」という名のネットワーク(“お茶”と女性ネットワーク;「社中」の成り立ち ほか)
第4章 戦後女性の人生と“お茶”(妻・母と“お茶”;独身女性と“お茶” ほか)

著者等紹介

加藤恵津子[カトウエツコ]
国際基督教大学国際関係学科助教授(文化人類学)。慶応大学文学部文学科英米文学専攻卒。同大学院文学研究科修士課程修了。カナダ・トロント大学大学院博士課程修了(言語・記号人類学)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たかこ

13
社会的に「お茶をやってる方」として認識されている私。習ってもう25年は経つが、今まで私の上の世代のおばさまたちがどんな社会背景の中、お茶を続けてこられたのか知らなかったので、とても興味深く面白かった。男がすると芸術だけれど、女がすると作法でしかない。女性の若さに価値が置かれ、かつ経済的生産性を重視する社会では、年齢を重ねた女性とフルタイムで賃金労働をしていない人々は過小評価されやすい。女性茶道修練者がそうである。それでも日本の総合文化をになっているという自身をもって勉強を続けていくのだ。2019/09/11

Ucchy

2
戦国時代男性のたしなみだった茶道がなぜ戦後に女性に席巻されるようになったのかという着眼点は面白い。一言でいうと年配女性(団塊の世代前後)にとって茶道はエンパワーメントだから。それは彼女らが主婦としてしか価値を認められなかったことからの脱出でもある。お稽古事一般に通じる指摘かもしれない。男性が何故茶道から離れていったのかについての考察は少ない。インタビュー調査の生声にはリアリティーがある。筆者の率直な筆致が好ましい。社会研究の手本として勉強になる。茶道について色々知って興味を持った。茶会にも行ってみたい。2019/06/09

Noelle

2
つい最近、宮尾登美子さんの「松風の家」を読んで小説とは言え 裏千家の明治末期から大正にかけての困難な時代の知識を得ていた。また、母が娘時代から80を越す今日に至るまで休むことなくお茶に携わり、教授者として生きてきたことを思い合わせると、茶道を通して論じられた非常に納得のいく社会論であったし、珍しい視点からの取り組みとも言える。元々が海外の大学での博士論文ということなので、多少生硬な日本語の叙述なのも仕方ないかも。自分もお茶に回帰しようかどうか思案中だが、すぐには答えがでなさそうだ。2014/05/08

sigismund

2
文化人類学者が書いた社会学の本、と言えるかも。フィールドワークでのリサーチを基に女性にとってお茶とは何かを追っていく。大体の論旨は解ったが、お茶をする者として細かい所が気になる。第二章で「20c初頭から戦中にかけ、近代財界人は財政逼迫していた家元を無視していた」とあるが、表千家は三井家という強力なパトロンがいたのでこの根拠はちょっと「?」が浮かぶ。でも女性のお茶と男性のお茶の受け取り方の違いという所は、なかなか面白く読めた。2012/12/27

sutatin

2
まったく知らない世界について色々と学ぶことができた、素人でもしっかりと理解できる。ただ最後にどうして男性のほうが明らかに変わらなくてはいけないのかが少し不明瞭、そもそもどう変わるのが正しいのかぐらいは示して欲しかった。あとなぜか読むのに凄い時間かかった2010/03/29

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