出版社内容情報
リベラリズムは、「自分が唯一の存在であり他者もまたそうであると認める」倫理を内包する唯一の制度である。著者はそう主張し、リベラリズムの価値を追求する。ホッブズ、ロックの社会契約論、ノージックの最少国家論、アレントの記憶の政治学など、歴史的かつアクチュアルな論点に取り組み、現代社会におけるリベラリズム思想の見取り図を描く渾身の力作。
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リベラリズムは、価値観の異なる他者同士が共存する社会を追求し、そこに理論的基盤を与えてきた。
しかし、人々の行動が多様化・重層化する現代、リベラリズム=自由主義はその限界を問われるようになっている。
本書は、気鋭の社会哲学者による、新たなリベラリズムの宣言である。
現代社会の現実を踏まえ、個人・国家・共同体の関係を根本から見直したうえで、
個人の尊厳を守りうる唯一の制度として最小福祉国家への構想を示している。
独在論の哲学、ノージックの最小国家論、アーレントの全体主義論と格闘しつつ、
リベラリズムの限界とその先の可能性を提唱する、
渾身の書き下ろし800枚。
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第一章 リベラルな制度の検討
一 「特段の理由なくして差別しない」
二 制度の境界
三 制度はどのようにして存立するか
四 洗練された無関心
第二章 「私」の固有性とはなにか
一 人格的個人への注目
二 「公正さ」の要請
第三章 リベラルな制度における権力
一 リベラルな制度と国家
二 リベラルな制度における制裁
三 共同体主義への再批判
第四章 自由主義の思想史 - 第一の屈曲
一 社会契約論 - ホッブスとロック
二 スミス - 自発的適応のメカニズム
三 ルソー - 合意の「裂け目」
四 自由主義の諸ヴァージョン - 英国における展開
五 フランス革命後の思想
六 古典的自由主義、新自由主義そして社会民主主義
第五章 第二の屈曲 - 進化論的思考を超えて
一 新自由主義の課題
二 進化論的思考の展望
第六章 最小国家論の可能性と限界
一 「アナーキー・国家・ユートピア」
二 最小国家論の検証 (一)「見えざる手」による移行
三 最小国家論の検証 (二)拡張国家への移行の正当化
四 平等主義と人格
第七章 リベラリズムは悪に耐えうるか
一 ルサンチマン問題
二 歴史原理の限界
三 リベラルな道徳の困難
第八章 悪の神話化を超えて
一 悪の合理性
二 極限の犯罪=殺人にいかにして対応するか
三 全体主義の危険とはなにか
おわりに
一 批判主義としての自由主義
二 自由主義の限界をめぐって
内容説明
リベラリズムの限界に挑む個人と社会の相克関係を根底的に問いなおし、最小福祉国家への構想を描く理論的挑戦作。『ナウシカ解読』で注目を集めた気鋭の社会哲学者による、渾身の書き下ろし800枚。
目次
第1章 リベラルな制度の検討
第2章 「私」の固有性とはなにか
第3章 リベラルな制度における権力
第4章 自由主義の思想史―第一の屈曲
第5章 第二の屈曲―進化論的思考を超えて
第6章 最小国家論の可能性と限界
第7章 リベラリズムは悪に耐えうるか
第8章 悪の神話化を超えて